2006 Fiscal Year Annual Research Report
大気海洋間の気液界面を通しての物質移動および界面近傍の乱流構造に及ぼす降雨の影響
Project/Area Number |
06J52652
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高垣 直尚 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 物質移動 / 乱流 / 可視化 / 液滴 / 降雨 |
Research Abstract |
大気中の二酸化炭素濃度の上昇に伴う地球温暖化を正確に予測するために、大気・海洋大循環モデル(GCM)に含まれる不確定要素のひとつである大気海洋間の物質交換のメカニズムを解明することは重要である。しかし、GCMには数多くの不確定要素が含まれているため正確な温暖化予測が行われているとは言い難いのが現状である。この不確定要素の一つに、地球の表面積の約7割を占める海洋と大気間での二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの交換量が、正確に評価できていないことが挙げられる。その原因のひとつは、GCMの大気・海洋間の物質移動量を計算するためのサブモデルにおいて、ウィンドシアーにより液側界面近傍に生成される乱流渦の影響は考慮されているが、代表的な気象現象の一つである降雨の影響については全く考慮されていないことである。事実、自然界における気液界面を通しての物質移動に関して、既往研究は降雨により生成される液側界面近傍の乱流渦の影響を無視できないと結論付けている。しかし、雨滴の衝突を伴う気液間の物質移動機構についてもなんら検討されていない。 本年度は、液滴の界面衝突時における二酸化炭素吸収メカニズムを解明するために、単一液滴落下実験装置を用いて二酸化炭素濃度場と液側流動場の測定を行った。測定には、可視化画像流速計測システム(PIV)とレーザー蛍光法(LIF)を用いた.以下に、得られた知見を列記する。 1.液滴衝突により界面が変形している間に二酸化炭素が液流へ吸収される。 2.界面の変形が収まった後、雨滴衝突により形成された下降流によって吸収された二酸化炭素が液流バルクへと運ばれていく 現在、これらの結果をまとめた論文を執筆中である。
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Research Products
(2 results)