2006 Fiscal Year Annual Research Report
植物病原体ブロムモザイクウイルスの移行関連タンパク質の機能解析
Project/Area Number |
06J52692
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
赤松 真子 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 植物ウイルス / 細胞間移行 / 移行タンパク質 / リン酸化 |
Research Abstract |
本研究は植物ウイルスの感染機構の解明をめざして、感染過程のうちウイルスの移行機構に焦点を置き、モデルウイルスであるプロムモザイクウイルス(BMV)を用いて研究を行っている。これまでにBMVの移行関連タンパク質である移行タンパク質(B3a)と外被タンパク質がリン酸化していることを明らかにした。平成18年度においては、B3aのリン酸化部位の同定を行った。リン酸化部位の探索として、リン酸化部位探索プログラムNetPhosを用いた。また、申請者のこれまでの実験結果によりB3aはBMV感染細胞において複数個所のセリンがリン酸化していることが示唆されていたため、BMVを含む5種のプロモウイルスの3aタンパク質について保存セリン残基の探索を行った。これらの結果から、3aタンパク質の8つのセリン残基をリン酸化部位の候補とした。これらのセリン残基についてリン酸化しないアラニンへ置換した変異体BMVの作出をし、リン酸化実験を行ったところ36番目のセリンがリン酸化部位であることを示唆するデータが得られた。そこで、次にこの部位でのB3aのリン酸化がBMVの感染制御機構として働いているかを調べた。今回同定したリン酸化部位に対して、アミノ酸置換(アラニン、スレオニン、アスパラギン酸)を行った。リン酸化実験から、この部位がセリンでなくスレオニンであっても野生型と同様にリン酸化することがわかった。アミノ酸置換によりこの部位でのリン酸化が行われなくなった変異体BMVでは宿主植物において野生型に比べ、細胞間移行の遅延が見られた。いっぽう、アミノ酸置換をしたもののこの部位でのリン酸化が行われる変異体BMVでは野生型BMVと同様の移行が観察された。以上の結果から、B3aのリン酸化がBMVの細胞間移行の制御機構として働いていることが示唆された。
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