2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J52742
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
パーム Q 大阪大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ディラク方程式 / リヤブーノフ指数 / スペクトル |
Research Abstract |
1次元Dirac方程式の一般化であるシンプレクティクな構造をもった線形微分方程式についてその係数がランダムでエルゴート性をもつとき、リヤプーノブ指数が異なる(分離する)条件を一般的な形で与えることに成功した。これは1次元シュレーディンガー作用素の場合に小谷により得られていた結果の拡張であるが、シュレーディンガーの場合と異なり、スペクトル測度から方程式の係数が一意的に決まらないので、そこに新しい工夫が必要であった。この結果は海外の関心を持つ研究者に送付した。ハノイ大学のN.H.Du教授を招聘し、この成果を説明しよい評価を得た。この結果は論文としてまとめ、すでに海外の専門誌に投稿中である。 昨年の秋からはランダム行列の研究に重点を移している。この方向からランダムスペクトルの問題を考察することに方針を若干修正した。1次元シュレーディンガー作用素でポテンシャルがホワイトノイズであるとき、有限区間では離散的な固有値を持つが、区間を大きくしていったときに、それぞれの固有値がどのような極限分布に収束するか計算している。現在、各固有値についての極限定理は得ているが、関心はすべての固有値の同時分布を求めることにある。まだ成功していないが、方針はもっており、それに従い計算を進めている。これを果たした後、帯状領域ないしは多次元での同様の極限分布を計算することを考えている。
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