2006 Fiscal Year Annual Research Report
生体内糖脂質代謝およびストレス制御に及ぼす食事性糖質および脂質の複合的作用の解明
Project/Area Number |
06J52892
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
武藤 佳瑞智 徳島大学, 栄養生命科学教育部・特別研類(DC1)
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Keywords | 糖・脂質代謝 / 内臓脂肪蓄積 / 炎症性ストレス制御 / 食事性糖質 / 食事性脂質 / 栄養素間相互作用 |
Research Abstract |
食事誘導性肥満に伴って糖・脂質代謝に異常が生じる。しかし実際の食事を反映する複数の栄養成分が生体に及ぼす相互作用や複合的作用についてはほとんど解明されていない。そこで本研究では、最も普遍的な栄養素である糖質と脂質の相互作用に注目して検討を行った。 1、肥満モデル動物であるZucker fatty(fa/fa)ratに、生理作用の異なる糖質(パラチノース、シュクロース)と脂質(オレイン酸、リノール酸)の組合せ食を投与して評価した。 (1)8週間の投与後では、パラチノース摂取群で内臓脂肪蓄積および血糖上昇の抑制、血中脂質低減効果が見られた。さらにパラチノースとオレイン酸を組み合わせることでこの効果が増強した。またリノール酸摂取群は、糖質の種類に関係なく脂肪組織へのマクロファージの浸潤および膵β細胞の障害を示した。さらに肝臓では、リノール酸摂取群で炎症性遺伝子(COX-2,TNFα,Emr1)発現の亢進と炎症性細胞の浸潤が確認された。 (2)4週間の投与後では、8週間投与と同様にパラチノース摂取による膵島肥大化の抑制、リノール酸摂取による膵β細胞の障害が観察された。しかし脂肪組織や肝臓では組合せ食による差異は認められなかった。 以上のことから、長期のリノール酸摂取により全身の炎症性ストレスが誘導されること、また食事誘導性肥満に伴う糖・脂質代謝異常の進展には、糖質および脂質の膵臓に及ぼす影響が重要であることが明らかとなった。 2、上記組合せ食を投与したラットの膵臓でβ細胞の増殖、インスリン産生・分泌能、炎症応答に関わる遺伝子発現を検討した。シュクロースとリノール酸の組合せ食摂取群においてinsulin1の発現が低下し、炎症関連遺伝子(12-LOX, MCP-1)の発現が亢進する傾向が見られた。現在これらの動物の単離膵島について検討を行っている。
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Research Products
(4 results)