2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J52973
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
野村 尚之 Kumamoto University, 大学院・自然科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | バースト高周波高電界 / DNA損傷 / 電気泳動法 / 二重染色法 |
Research Abstract |
本研究は,電界強度,周波数,エネルギーの三つの電界物理パラメータが生体に対して及ぼす影響を精査するために,バースト高周波高電界(Intense Burst Sinusoidal Electric Field:IBSEF)を提案し,細胞に及ぼす生体反応の調査を行っている.本年度は、前年度示された細胞内DNA損傷のメカニズムを物理的影響と生体反応による影響の二つの観点からの調査を行った. 1. 物理的影響 電界がDNAの分子構造に対して物理的なストレスを与えている可能性を調査するために,細胞外のDNAに対してIBSEFを印加し,その変化を電気泳動法を用いて評価した.周波数300kHz〜100MHz,電界強度200kV/m,バースト時間を200μsと5msで調査を行ったが,どの条件においても明確な変化は見られなかった.このことから,IBSEFが物理的にDNAを損傷させている可能性は低いことが示された. 2. 生体反応による影響 電界ストレスがDNA損傷を引き起こす生体反応のきっかけとなっている可能性の調査として,DNA断片と深く係わりのあるアポトーシスに注目して調査を行った.アポトーシス検出方法として,Annexin-VとPIによる二重染色法を用いた.周波数を50MHz,電界強度200kV/m,バースト時間を200μs(1shot),2ms(4shot)とし,印加直後と5時間後の反応を調査した.結果として,2ms(4shot)の場合は,印加直後にアポトーシスの反応が顕著に見られた.対して,バースト時間200μsの場合は,5時間後にアポトーシス反応を示した.この結果より,エネルギーの低い条件においても細胞死に繋がる生体反応を誘導できたことが示され,電磁環境観点からも非常に興味深い結果が得られた.
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Research Products
(4 results)