2006 Fiscal Year Annual Research Report
ヒューマニンの細胞死抑制作用の解析-細胞癌化に果たす役割
Project/Area Number |
06J53042
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
名和 幹朗 慶應義塾大学, 医学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | アルツハイマー病 / 神経細胞死 / ヒューマニン |
Research Abstract |
我々は、アルツハイマー病(ア病)患者の大脳後頭葉cDNAライブラリーより、ア病関連侵害刺激による神経細胞死を抑制する因子ヒューマニン(HN)を同定した。HN cDNAは24アミノ酸からなるペプチドをコードしており、ア病関連侵害刺激のみならず、プリオンペプチドによる細胞死、さらには血清除去によるアポトーシス等に対して神経保護作用を発揮することが報告されている。また、細胞死誘導蛋白Baxの内在性インヒビターであるとの報告があることから、細胞死のみならず細胞増殖においても重要な因子である事が示唆されている。実際に我々は、組織免疫学的手法により一部の腫瘍において内在性HNが高発現していることを見いだしている。本研究では、HNの細胞死および細胞増殖に対する影響を検討するために、HNノックアウトマウスの作製を計画している。HNは種を超えて保存されている事が報告されており、ヒト以外でも、38アミノ酸からなるラットHN相同遺伝子Rattinが同定されているが、マウスHN相同遺伝子の同定は未だなされていない。そこで我々はマウスより実際に内在性のHNを抽出し、アミノ酸配列を決定する事によりマウスHN相同遺伝子の同定を試みた。その結果ウエスタンブロット法によりマウス精巣、大腸において、4kDa、10kDaの抗HN抗体陽性タンパク質が存在し、10kDaのタンパク質においては、抗HN抗体によりウエスタンブロット法で認識されるのみならず免疫沈降もされることから、一次構造のみならず立体的な構造がHNに非常に類似している事が示唆され、HNの前駆体である可能性を考えている。4kDaのタンパク質に関しては、ペプチドシークエンスを行ったが、N末ブロックのためアミノ酸配列を決定する事は出来なかった。現在、内部配列決定を試行中である。また、10kDaのタンパク質のアミノ酸配列決定も並行して行っている。
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Research Products
(1 results)