2006 Fiscal Year Annual Research Report
安全で効率のよい手術遂行のための手術手技の定量化と術中支援システムの開発
Project/Area Number |
06J53202
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
植松 美幸 早稲田大学, 理工学術院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 大動脈置換術 / 手術支援 / ナビゲーションシステム / レジストレーション / マルチスライスCT |
Research Abstract |
大動脈瘤の人工血管置換術に対応する手術ナビゲーションシステムを開発した.開発要件は以下の2点とした.1)瘤を切開しても大動脈内壁からは肉眼で見ることのできない,血管壁の裏側に広がる肋間動脈の走行状態を,手術中に立体的に把握可能とする表示を行うこと,2)温存すべき肋間動脈の起始部を頭足方向に最大でも5.0mmの範囲で特定可能にすることである. 患者体内の解剖学的情報の表示には,術前診断用に撮影したマルチスライスCTの画像を用いた.画像中のCT値に応じて,大動脈,肋間動脈,骨といったそれぞれの領域を自動抽出した.このうち,CT値が重複して自動処理できない部位については手作業で抽出した.そして,各領域の輪郭を抽出し,3次元再構築することで,部位ごとのサーフェスデータへ変換した.サーフェスデータの表示には,3次元形状の描画に優れたライブラリであるOpenGLを用いて自作したソフトウェアを利用した.色や透明度を変更可能とし,拡大縮小しながら自由な視点から表示することで,全体における各部位の位置関係を観察可能とした.直感的な立体構造の表示法に加え,より詳細な解剖学的位置関係を把握可能とするため,ボリュームデータを上下,前後,左右の3軸方向の断層画像で表示し,同時に確認可能とした.開発したナビゲーションシステムが,東京女子医科大学の倫理委員会を通過したことを受け,2006年7月に臨床応用を開始し,2007年2月末までに16例の症例に利用した.臨床での精度は,レジストレーション試行時に,人と機械が情報をやり取りする上で生じる誤差をもとにシステムの信頼性を評価した.以上より症例に応じて,システムの信頼性は3段階のレベルに分類されると結論づけられた.また,臨床的な側面からは,全症例において,温存すべき肋間動脈の起始部を頭足方向について最大でも5.0mmの範囲で特定可能であった.
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] 胸腹部大動脈瘤置換術要ナビゲーションシステムの臨床応用2006
Author(s)
植松美幸, 青見茂之, 鈴川浩一, 安藤隼人, 原美紀子, 西井規子, 飯村浩, 中村亮一, 村垣善浩, 伊関洋, 上杉繁, 梅津光生
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Journal Title
日本コンピュータ外科学会誌 Vol.8 No.3
Pages: 312-313
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