2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J53253
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
佐藤 乃理子 藤田保健衛生大学, 医学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 腎細胞癌 / 抗体療法 / 腎癌特異的抗原 |
Research Abstract |
本学総合医科学研究所免疫学部門により作製されたヒト抗体ファージライブラリー(AIMSライブラリー)を用い、腎細胞癌特異的抗体の作製を目指している。3種の腎癌細胞株とこのライブラリーのスクリーニングにより331種類のファージ抗体を単離した。単離された抗体を用い、臨床検体(病理診断がすべて淡明細胞癌)の免疫染色を行い、二次スクリーニングを行った。その結果、7種類の腎癌特異的と思われる(正常組織には反応しない)抗体を選別した。これらの抗体は腎癌樹立細胞株でも強い陽性像を示し、腎癌特異的であることが示唆された。また、これら7種の抗体が認識する抗原は免疫沈降法、マススペクトルメトリーにより、それぞれ5種類の蛋白であることが同定されている。この5種類の抗原の中にはこれまでに腎細胞癌の発現が報告されていないものが含まれていた。これらの抗体をscFv抗体からIgG型抗体に変換し、in-vitroにおける抗体の機能検索を行った。抗原抗体結合力は生体に投与した際に充分に効果を発揮できる強さを有していた。さらにADCC活性は腎癌細胞に対し、抗腫瘍活性を有していることが示された。また、抗体の直接効果として細胞増殖抑制効果について検討したが、通常条件で培養した細胞に比べ、抗体を加え培養したものは約50%の増殖抑制効果が得られた。今後はin-vivoでの実験を予定している。これらの抗体は腎癌細胞株より単離されており、また完全ヒト抗体であるので、治療法の少ない腎細胞癌に有効な抗体が得られたものと考えられる。さらに認識抗原を解析することにより、治療の標的となる抗原を同定し、より有効な抗体を選択したいと考えている。本研究の最終目標は腎細胞癌に対する治療用抗体の開発である。
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