2006 Fiscal Year Annual Research Report
浜辺の環境史:人と自然関係におけるローカルな知と実践
Project/Area Number |
06J53322
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
中川 千草 関西学院大学, 社会学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 環境保全 / 沿岸部 / ローカルな知 / コモンズ / 海村 / 村落間関係 / 村落構造 / 生活実践 |
Research Abstract |
本研究は、海辺村落における自然をめぐるローカルな知を総合的に分析し、そのための表現手段としてのモノグラフのあらたな内容と技術的方法を検討することを目的としている。 平成18年度は、三重県熊野灘沿岸部における浜辺の利用と管理、所有のあり方、特に、放置されたかのようにみえる自然と人間との関係性にかんする聞き取り調査および資料収集に重点をおいた研究活動をおこなった。具体的には以下の通りである。 1,過疎化や高齢化の問題を抱える共同体に放置されてしまったかのようにみえる自然を取り上げ、ローカルな知としての自然維持のあり方を再考した。記憶・伝承が、自然環境をめぐるローカルな知を生成・再生成に大きな影響を与えていることがあきらかとなった。 2,海浜部を対象とした諸政策が地域社会に与える影響に注目し、明治維新以後に制定された海浜部の利用や所有(売買や譲渡を含む)をめぐる法制度にかんするデータ収集を実施した。 3,相賀浦地区のむらづくり支援グループに参加し、住民とともに議論することを通して、地域活性をめざした実践のなかで、自然環境がどのように利用されるのか、また、される可能性があるのかということを具体的に検討した。 以上のような研究活動の内容を、「三大学交流研究会(岩手県立大学)」(6月)、「日本村落研究学会(愛知県)」(11月)にて報告をおこなった。 平成19年度は、これまでの聞き取りデータや資料を整理し、博士論文執筆にむけての準備を中心に研究活動をおこなう予定である。また、未読の古文書類を解題するとともに、比較の視点を養うためにも、三重県外での調査活動も予定している。
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Research Products
(1 results)