2006 Fiscal Year Annual Research Report
大局的トポロジー構造におけるトポロジカルソリトンの生成・消滅過程の研究
Project/Area Number |
06J54012
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
延兼 啓純 北海道大学, 大学院工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | トポロジカル欠陥 / 超伝導 / 初期宇宙 / 量子相転移 / 非平衡 |
Research Abstract |
本研究は、観測できない状況にある我々の初期宇宙に対して固体物理系を用いて実験室で実験を行い、宇宙の未解決問題に示唆を与えることである。 最近の宇宙背景輻射による観測データ(COBE, WMAP)により、我々の宇宙が8の字トーラスやポアンカレ十二面体といった特異なトポロジー構造を持つ宇宙という報告がされている[J.P.Luminet, et al. Nature.425(2003) 593]。一方、超伝導体を用いたジョセフソン接合系において、デバイス設計により大局的トポロジーの異なる様々な宇宙を作ることが可能となる。 我々は、直径100μm,幅2μmのAl/AlOx/Alリングジョセフソン接合を作製した。ジョセフソン接合は接合内にトポロジカルソリトンをトラップすることができ、トポロジカルソリトンの秩序化過程を電気測定によって測定可能となる。まず、作製した素子において転移温度以下でフラットテールを確認した。このことから作製した素子が量子揺らぎの強い素子であることが分かった。そして、このような素子に対して、0.1K以下の超低温において磁場を印加し、常伝導状態(無秩序状態)から超伝導状態(秩序状態)への磁場クエンチを行った。それぞれ磁場クエンチ速度を変えたとき、素子の電圧変化の時間発展を測定した。この測定結果から、平衡時の臨界磁場Bcと非平衡時の臨界磁場B'との差とクエンチ時間の関係がT=0近傍の量子相転移領域においてべき関数になることを明らかにした。
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Research Products
(1 results)