2007 Fiscal Year Annual Research Report
大局的トポロジー構造におけるトポロジカルソリトンの生成・消滅過程の研究
Project/Area Number |
06J54012
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
延兼 啓純 Hokkaido University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | トポロジカル欠陥 / 超伝導 / 初期宇宙 / 量子相転移 / 非平衡相転移 |
Research Abstract |
本研究は、観測できない状況にある我々の初期宇宙に対して固体物理系を用いて実験室で実験を行い、初期宇宙の臨界指数を導出することである。Kibble-Zurekは、宇宙(非平衡)相転移においてドメインサイズξ(トポロジカル欠陥間の距離)とクエンチ時間τ_Qがべき関数になることを理論的に予言している(Kibble-Zurek Mechanism:KZM)。しかし、KZMにおいて秩序パラメータの対称性の違いにおける宇宙相転移の臨界指数を決定するまでには至っていない。そこで我々は秩序パラメータの異なるSU(2)超伝導体とU(1)超伝導体の磁場クエンチ実験に注目した。SU(2)超伝導体は、U(1)超伝導体では形成されないテクスチャー構造をもつトポロジカル欠陥が期待され、より宇宙モデルに近い。 我々は、前年度の研究遂行にまりU(1)ゲージ対称性を持つs波超伝導体Al/AlOx/Al接合に対して磁場クエンチ測定を行った。その結果、平衡時の臨界磁場Bcと非平衡時の臨界磁場B'との差とクエンチ時間の関係がT=0近傍の量子相転移領域においてべき関数になることを既に明らかにしている。この磁場クエンチ測定系を用いて、本年度我々はSU(2)ゲージ対称性を持つp波超伝導体Sr2Ru04に対して、T=0.1K以下の状況下においてc軸に平行に磁場を印加し、H>Hc2からH=0へ磁場クエンチ測定を行った。実験の比較の為にバルクスケールSr2Ru04とナノスケールSr2Ru04の二つに対して磁場クエンチ測定を行った。p波Sr2Ru04磁場クエンチ測定において、s波のクエンチ測定では見られなかったクエンチ直後の量子揺らぎによる大きな電圧変化を観測した。これはp波Sr2Ru04におけるテクスチャー構造の形成ダイナミクスに起因すると考えている。
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