2006 Fiscal Year Annual Research Report
海藻脂質の抗肥満効果の解明と食品への応用に関する研究
Project/Area Number |
06J54022
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
前多 隼人 北海道大学, 大学院水産科学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 肥満 / 糖尿病 / 海藻 / 脂肪細胞 |
Research Abstract |
ワカメに含まれるカロテノイドの一種であるフコキサンチン(Fc)の脂質代謝促進作用について検討を行った。 Fcの食品としての安全性を評価する上で摂取後の体内動態ついて検討した。その結果、Fcを投与したマウスの白色脂肪組織ではFcの代謝産物であるフコキサンチノール、アマローシアキサンチンAが多く蓄積していた。又、3T3-L1脂肪細胞を用いた実験からフコキサンチノールがFcよりも強い脂肪細胞への分化抑制効果を持つことが明らかとなった(雑誌論文)。 Fcの吸収性の向上を目的として、Fcと中鎖脂肪酸を併用して糖尿病肥満モデルマウスに投与する実験を行ったところ、内臓脂肪の蓄積抑制や白色脂肪組織でのUCP1タンパク質の発現誘導がみられた。又、海産物由来の代表的な機能性成分である魚油とFcを併用して投与した場合にも内臓脂肪減少効果が向上したことから、Fcは他の機能性成分と組み合わせることでより強い効果を示すことが考えられた。 更にFcの新たな機能として血糖値の上昇を抑制する抗糖尿病効果を明らかにした。Fc投与マウスでは白色脂肪組織中のTNFαのmRNA発現量が抑制させており、これがFcによる血糖値の上昇抑制効果の作用機構であることが示唆された(投稿準備中)。又、正常マウスに対して高脂肪食にて摂取させ肥満状態にしたマウスを用いた実験では、Fcを投与したマウスにおいて筋肉組織での糖の取り込みに関わるGLUT4のmRNA発現が高まった(投稿準備中)。これらのことからFcは脂肪組織だけではなく、筋肉組織などの他の代謝に関わる組織にも働きかけ、その機能を発揮していることが示唆された。 本年度の研究より摂取したFcの脂肪組織での動態と脂肪組織と筋肉組織での機能について明らかにした。今後はその作用機構について更に詳細に検討する予定である。
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Research Products
(1 results)