2007 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子変異マウスを用いたWtapの選択的スプライシング制御機構の解析
Project/Area Number |
06J54132
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
福住 好恭 Kanazawa University, 医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | Wtap / 中胚葉形成 / キメラ解析 |
Research Abstract |
Wilms' tumor-1 associating protein(以下Wtap)遺伝子は、選択的スプライシング機能やcyclinA2 mRNAの安定性、細胞増殖などに関与することが報告されている。私はWtapの生体内での機能を明らかにするためにWtap遺伝子変異マウスを作成し、Wtapはマウス胚とES細胞において内胚葉と中胚葉の分化に必要であることを明らかにした。しかし、マウス胚における内胚葉と中胚葉の分化は胚体外組織からのシグナルを受けて開始されることが知られており、Wtapが胚体外あるいは胚体組織のどちらで機能するかは不明であった。この疑問を解明するために本年度はキメラ解析を行った。 『Wtap変異ES細包と野生型胚』、『Wtap変異胚と野生型ES細胞』の2つの組み合わせでキメラ胚を作成した。その結果、正常な胚体外組織はWtapホモ変異ES細胞の生体内での三胚葉への分化を誘導できた。しかし、ホモ変異胚由来の胚体外組織は野生型ES細胞の内胚葉と中胚葉への分化を誘導することができず、このキメラ胚は円筒胚が形成できないWtapホモ変異胚の形態と酷似していた。 また、マウス胚におけるcycIin A2のタンパク質発現を免疫染色法により解析を行ったが、Wtap変異胚においてcyclin A2タンパク質発現はコントロール胚と変わらないことが分かった。さらに、細胞増殖マーカーであるリン酸化ピストンH3抗体を用いて解析したが、コントロール胚と明らかな差は見られなかった。 以上の結果から、少なくともマウス初期胚におけるWtapは、これまで言われていたcyclin A2のmRNAの安定化や細胞増殖の制御よりも、内胚葉と中胚葉の分化に必要であることを明らかにした。
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Research Products
(4 results)