2007 Fiscal Year Annual Research Report
雅楽に関する記録、文献の研究。主として『教訓抄』『続教訓抄』から音楽史を考究する。
Project/Area Number |
06J54251
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Research Institution | Nishogakusha University |
Principal Investigator |
神田 邦彦 Nishogakusha University, 文学部, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 日本音楽史 / 楽書 |
Research Abstract |
本年度は雅楽に関する記録、文献の研究として、昨年度に引き続き、『教訓抄』を課題として取り上げた。同書は我が国最古の総合的楽書(音楽書)といわれており、日本音楽史研究に欠くことのできない史料であるが、これまでほとんど研究されてこなかった。そこで、昨年より同書の諸本調査を行い、現存する写本の確認を開始した。すると、中でも重要な江戸時代以前の古写本を五本確認することができた。すなわち、宮内庁書陵部蔵本、曼殊院門跡蔵本、彦根城博物館蔵本、内閣文庫蔵本、京都国立博物館蔵本である。そこで、その調査の結果を論文「『教訓抄』の古写本について」に発表した。同書の古写本は、国の重要文化財に指定されている京都国立博物館蔵本を除き、これまで研究に取り上げられたことがなく、ほか四本の古写本をまとめた研究は初めてのものである。同論文では、古写本に共通して見られる書式や仮名遣い等を指摘し、これまで同書の研究で使用されることの多かった江戸時代の写本との相違点を述べた。この研究によって、古写本の存在が明らかになるとともに、より原本に近い特徴を捉えることができ、同書の研究に確実な進展をもたらしたものと考えている。ただし、古写本の中には、曼殊院門跡蔵本や京都国立博物館蔵本のように、閲覧許可が下りていないものもあり、研究に支障が出ている。今後、許可されることを強く望むものである。なお、筆者は二松学舎大学で結成された教訓抄研究会に属し、そこで『教訓抄』の古写本の翻刻を共同で行っており、本研究の一助となっている。
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Research Products
(2 results)