2006 Fiscal Year Annual Research Report
常態および病態時における神経ネットワークの構築・破綻の創薬を目指した研究
Project/Area Number |
06J54263
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
土谷 大樹 京都薬科大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | アクチン / WASPファミリー / Rhoファミリー / 脳発達 / 神経分化 / 神経形態形成 / プレセニリン1 / アルツハイマー病 |
Research Abstract |
神経ネットワークの構築メカニズムの一端を明らかにするため、ラット脳の発達過程におけるアクチン骨格制御因子の役割を解析した。アクチン骨格制御因子であるRhoファミリーおよびWASPファミリーは脳発達に伴い増加する一方で、アクチンは細胞質から細胞膜へトランスロケーションすることを見い出した。また、アクチンは脳全体に普遍的に存在するが、アクチン骨格制御因子はシナプス構造が豊富な部位に顕著に局在することが認められた。初代培養ラット神経細胞を用いた解析により、WASPファミリーが伸長神経突起先端部位にアクチン骨格と共存することが認められた。これらのことから、アクチン骨格制御因子は神経ネットワーク構築の過程で増加し、細胞膜下でのアクチン重合を促進し、神経突起の伸長やシナプス形成に寄与することが示唆された。 また、ヒト神経芽SH-SY5Y細胞に野生型および変異型ヒトプレセニリン1(PS1)を過剰発現することでPS1の神経形態形成における役割について解析した。野生型および家族性アルツハイマー病関連P117L変異型PS1の過剰発現はSH-SY5Y細胞の神経分化や形態には影響を及ぼさないが、ドミナントネガティブD385A変異型PS1の過剰発現によりSH-SY5Y細胞の形態が非神経系様の形態に変化し、神経分化そのものが抑制されている可能性が示唆された。さらにD385A変異型PSI過剰発現細胞では、N-WASPなど突起形成に関わる因子の蛋白質量が低下していた。以上のことから、PS1が神経分化および神経形態形成においてかなり上流に位置する必須因子であり、神経ネットワークの構築に関与することが推定される。一方、P117L変異型PS1は神経分化や形態形成の異常とは異なる別のメカニズムにより家族性アルツハイマー病の発症に関与することが示唆された。
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Research Products
(2 results)