1997 Fiscal Year Annual Research Report
冬期の北極域における水蒸気,エアロゾルの輸送過程と多結晶雪結晶の成長に関する研究
Project/Area Number |
07041077
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
菊地 勝弘 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80000793)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
早坂 忠裕 東北大学, 理学部, 助教授 (40202262)
梶川 正弘 秋田大学, 教育学部, 教授 (20042319)
桜井 兼市 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (50002613)
遊馬 芳雄 北海道大学, 大学院・理学研究科, 講師 (10183732)
上田 博 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (80184935)
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Keywords | 低温型雪結晶 / 水蒸気量 / 雲水量 / エアロゾル / マイクロ波放射計 / スウェーデン北極域 / ドップラーレーダー / シ-ロメーター |
Research Abstract |
北極圏の水循環・エアロゾル等の物質循環,低音下での雪結晶の形成メカニズムの解明のために,スカンジナビア北極圏のスウェーデン・キルナのスウェーデン国立宇宙物理学研究所において,Xバンド鉛直ドップラーレーダー,レーザー・シ-ロメーター,マイクロ波放射計,全天日射・長波放射計,メソネット気象観測,エアロゾルサンプリング,それに,雪結晶の地上観測を1997年12月14日から1998年1月20日まで行った.観測期間を通して暖冬であったが,さまざまなタイプの降水現象を観測することができた.12月中は快晴時が多く,あまり降雪現象は観測されなかったが,1月に入ると休むことなく降雪が続き,強度は弱いが10分程度の強弱を持つ山岳性の降雪現象や,ノルウェー海を進行する低気圧に伴う背の高い降水エコーを持つ降雪現象を観測することができ,観測時間は600時間を超えた.これらのデータは現在解析中である. 一方,マイクロ波放射計による水蒸気量および雲水量の観測から,以下のことが明らかになった. 1)水蒸気量の鉛直積分野は,快晴時の0.4cmから降雪時の0.7cm,濃密雲粒付雪結晶や霰の降る時には,1.0cmに達し,幅広い変動を示した. 2)雲水量(鉛直積分値)は,雲粒付雪結晶の時は,0.01cm以上となり,霰の時には0.04cmまで増加した.また,降雪をもたらす=乱のタイプにより大きく変動することが分かった. 雪結晶の観測では偏光顕微鏡により35m/mフィルム95本,レプリカは500枚作成することができた.各種の低温型雪結晶の他,針状結晶から霰まで,ほとんどの結晶形を記録することができた.
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Research Products
(17 results)
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[Publications] 荻谷 奈緒: "スピッツベルゲン島における降水の季節変動" 1997年日本気象学会春季大会講演予稿集. 71. 158 (1997)
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[Publications] 遊馬 芳雄: "カナダ北極圏の=乱の構造" 1997年日本気象学会春季大会講演予稿集. 71. 198 (1997)
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[Publications] Asuma. Y.: "Precipitation Features Observed by the Doppler Radar at Tuktoyaktuk, NWT, Canada, during the BASE Period" IAMAS ・ IAPSO Abstracts Melbourne. CMH4-LL (1997)
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[Publications] 遊馬 芳雄: "北極圏の=乱の構造と水輸送" 1997年日本気象学会秋季大会シンポジウム要旨集. 1-6 (1997)
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[Publications] 加藤 雅也: "カナダ北極圏でのLee Cyclogenesisの解析" 1997年日本気象学会秋季大会講演予稿集. 72. 147 (1997)
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[Publications] 荻谷 奈緒: "スピッツベルゲン島周辺における低気圧の季節変動と降水" 1997年日本気象学会秋季大会講演予稿集. 72. 148 (1997)
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[Publications] 石田 春麿: "冬季北極域における積算水蒸気量・雲水量及び赤外放射量の観測" 1997年日本気象学会秋季大会講演予稿集. 72. 21 (1997)
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[Publications] 荻谷 奈緒: "スピッツベルゲン島における降水の季節変動" 第20回極域気水圏シンポジウム. 34-35 (1997)
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[Publications] 石田 春麿: "マイクロ波放射計及び赤外放射計を用いた冬季北極域の水蒸気・雲水量と赤外フラックスの観測" 第20回極域気水圏シンポジウム. 29-30 (1997)
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[Publications] Asuma, Y.: "Energy Budget Observations in the Central Canadian Arctic" Journal of the Faculty Science, Hokkaido University, Series VII(Geophysics). 11・1. 27-49 (1998)
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[Publications] Sato, N.: "In Situ Growth Experiments on "Gohei Twins" Snow Crystals Observed at Inuvik in Arctic Canada" Journal of the Faculty of Science, Hokkaido University, Series VII(Geophysics). 11・1. 335-344 (1998)
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[Publications] Sato, N.: "Relationship between Ice Nuclei and Snowfalls Observed in the Arctic Regions" Journal of the Faculty of Science, Hokkaido University, Series VII(Geophysics). 11・1. 345-361 (1998)
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[Publications] 加藤 雅也: "西部カナダ北極域で発生する=乱の数値シミュレーション" 1998年日本気象学会春季大会講演予稿集. 73(印刷中). (1998)
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[Publications] 遊馬 芳雄: "ノルウェー海周辺の低気圧の季節変動と水輸送" 1998年日本気象学会春季大会講演予稿集. 73(印刷中). (1998)
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[Publications] 福田 陽子: "氷晶を含む人工雲の光学的特性の実験的研究" 1998年日本気象学会春季大会講演予稿集. 73(印刷中). (1998)
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[Publications] Kikuchi, K.: "Formation Mechanisms of Multi -branched Snow Crystals (Twelve - , Eighteen - , Twenty four - Branched Crystals)" Atmospheric Research. 46・1(in press). (1998)
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[Publications] Asuma, Y.: "Precipitation Features Observed by Doppler Radar at Tuktoyaktuk, NWT, Canada, during Beaufort and Arctic Storms Experiment" Monthly Weather Review. 126・6(in press). (1998)