1996 Fiscal Year Annual Research Report
日本の赤と中国の赤〜構築物と環境との関係にみられる色彩とデザインの国際比較・東アジアにおける事例的研究
Project/Area Number |
07041112
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Research Institution | Kobe Design University |
Principal Investigator |
近藤 公夫 神戸芸術工科大学, 芸術工学部, 教授 (60031647)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
王 敏 北京東方道徳研究所(日本大学国際関係学部), 研究員(非常勤講師)
日色 真帆 愛知淑徳大学, 現代社会学部, 講師 (50222237)
三上 晴久 神戸芸術工科大学, 芸術工学部, 助教授 (80229658)
廣川 美子 神戸芸術工科大学, 芸術工学部, 教授 (40001234)
川村 政美 神戸芸術工科大学, 芸術工学部, 教授 (20214702)
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Keywords | 色彩景観 / 中国的建築要素 / 付加的要素 / 中華街 / 「赤」 |
Research Abstract |
神戸・横浜・長崎の3つの中華街において、それぞれの色彩景観、特に「赤」に着目し主として「赤」の使われている部分、「赤」の使われ方について調査した。また、その空間の持つ特性を視覚的な構造を用いて分析し、中国的建築要素と付加的要素の色彩「赤」の使われ方の特性を明らかにし中国本土との違いを明らかにしたい。 調査方法は各中華街における写真撮影により(1)中国的建築要素(屋根・軒・軒先・バルコニー・手すり・装飾柱・装飾壁・門・装飾窓)(2)付加的要素(看板・日除け・のぼり・旗・傘・貼り紙・照明)を抽出し、その色彩の使われ方・組み合わせ等を分類した。分析方法は、各店舗をI.建築的要素II.張り出し看板III.正面看板IV.その他(付加的要素である看板以外のもの)の4つに分類し、「赤」の使われている部分と使われていない(その場合の色彩)部分を抽出した。看板(II.張り出し看板とIII.正面看板)に占める「赤」の比率は3都市全体を通じてかなり高いことが分かる。特にIIの張り出し看板については、神戸(14/18店舗=78%)、横浜(12/18店舗=67%)、長崎(7/17店舗=41%)で神戸、横浜では「赤」が多く使われている。特に張り出し看板に「赤」が多く使用されているということは、人々がこの中華街の通りを歩いたときにそれが目につき、「赤い」という印象を与えている。この張り出し看板が、「中華街が赤い」という認識の根源となっているのではないかと推測される。 また3都市を通してI〜IVの4要素の内、3要素以上使われている比率は神戸(2/18店舗=11%)、横浜(3/18店舗=17%)、長崎(2/17店舗=12%)でかなり低く、地域による差異も少ない。また同じ看板でも正面看板に「赤」が使われている比率は低く、これは正面看板の色彩が店の品格を象徴するような色彩を使用しているためである。看板の色彩の組み合わせでは、金色と黒色の組み合わせの比率が高く、これも同様の理由と考えられる。 中国本土における「赤」の使われ方についての調査結果との比較を行なっている途中である。
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[Publications] 日色真帆.橋浦由里子 廣川美子: "中華街における色彩景観「赤」に関する研究-神戸・横浜・長崎の事例を通して-" 日本建築学会近畿支部研究報告集 第37号. (予定)第37号. (1997)
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[Publications] 廣川美子.阪口明弘 菊池玲奈.寺田博一: "科学的方法による伝統的土壁の色彩と表情の再現-現代的土壁の提案に向けて" 日本建築学会近畿支部研究報告集 第37号. (予定)第37号. (1997)
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[Publications] 川村政美.廣川美子 山本聖子: "環境デザインにおける国旗や旗の役割-国旗における色彩構成" 日本建築学会大会学術講演梗概集. (予定)環境工学. (1997)
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[Publications] 近藤公夫: "中国の赤「長安の春」" 神戸芸術工科大学紀要 芸術工学. '96. 74-81 (1996)
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[Publications] 廣川美子: "国旗における色彩とデザインの文化性と象徴性-環境デザインにおける国旗の役割" 日本建築学会近畿支部研究報告集 第36号. 第36号. 53-56 (1996)
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[Publications] 廣川美子: "祇園一力亭の赤" 日本建築学会近畿支部研究報告集 第36号. 第36号. 57-60 (1996)
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[Publications] 王敏: "謝々!宮沢賢治" 河出書房新社, 246 (1996)