1995 Fiscal Year Annual Research Report
新型インフルエンザウイルスの予測-シベリアの水禽営巣地におけるウイルスの分布
Project/Area Number |
07041118
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
喜田 宏 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (10109506)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河岡 義裕 セントジュド小児研究病院, 準教授
伊藤 壽啓 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助手 (00176348)
岡崎 克則 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教授 (90160663)
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Keywords | シベリア / 水禽 / 渡り鴨 / 糞便 / 湖沼水 / アムール河 / ニューキャッスル病ウイルス / インフルエンザウイルス |
Research Abstract |
モスクワ市のロシア科学アカデミーイワノフスキーウイルス研究所、カムチャッカ州衛生研究所及びハバロフスク市の極東医学協会を訪問し、極東シベリア地域における水禽類の営巣地、飛翔時期並びに飛翔路に関する詳細な情報を得た。これにより、8年度以降に実施する調査の時期と地域並びに現地での協力体制を確立した。 カムチャッカ半島のペトロパブロフスク・カムチャッキー市周辺及びオホーツク海側のオクチャブリスキー郊外カニチェバ湖、ハバロフスク市郊外並びに同市北方のアムール河流域において、水禽の糞便及び湖沼水300検体余りを採取した。これらを輸入手続きを経て国内に持ち帰り、発育鶏卵に接種してウイルス分離を試みた。その結果、アムール河流域で採材した糞便から6株の鶏赤血球凝集性ウイルスを分離した。 分離ウイルスを抗原解析したところ、6株全てがニューカッスル病ウイルス(NDV)であった。次いで、これらのウイルスを逆転写PCRに供し、F蛋白遺伝子の塩基配列を解析した結果、いずれも完全な弱毒型であった。一方、これらのウイルスを1日齢鶏ヒナの脳内に接種した実験では、1株は低頻度ながらヒナを殺すことが判明した。このウイルスを詳細に調べることにより、NDV野外株が家禽に侵入した後強毒株が出現するメカニズムを解明する手掛かりが得られるもしれない。 北海道美唄市並びに鳥取市において150検体余りの水禽糞便材料を採取し、ウイルス分離に供したが、いずれの糞便材料並びに営巣湖沼水からもインフルエンザウイルスは分離されなかった。 現在、イワノフスキーウイルス研究所とハバロフスク市のその支所の協力で8年度に調査を実施する地域と時期を調整している。従って、多数の材料を採取でき、インフルエンザウイルス株が多数得られる見込みである。
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Research Products
(9 results)
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[Publications] T. Ito: "Receptor specificity of influenza A viruses correlates with the agglutination of erythrocytes from different animal species" Virology. (投稿中).
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[Publications] T. Ito: "Continued circulation of reassortant H1N2 influenza viruses in pigs in Japan" Virology. (投稿中).
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[Publications] Y. Guo: "Seroepidemioiogical and molecular evidence of the presence of two H3N8 equine influenza viruses in China in 1993-94." J. Gen. Virol.76. 2009-2014 (1995)
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[Publications] T. Horimoto: "Thc hcmagglutinin clcavability of a virulont avian influenza viruses by subrtilisin-like endoproteases is influenced by the amino acid immediately down-stream of the cleavage site" Virology. 210. 466-470 (1995)
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[Publications] C. Rohm: "Do hemagglutinin genes of highly pathogenic avian influenza viruses constitute unique phylogenetic lineages?. Virology. 209: 664-70, 1995." Virology. 209. 664-670 (1995)
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[Publications] M. R. Castrucci: "Reverse genetics system for generation of an influenza A virus mutant containing a deletion of the carboxyl-terminal residue of M2 protein" J. Virol.69. 2725-2728 (1995)
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[Publications] Y. Kawaoka: "Orthomyxoviruses: Influenza. In: Topley & Wilson's Microbiology and Microbial Infections, 9th ed." Edward Arnold, London(印刷中),
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[Publications] 喜田 宏: "家禽ペスト獣医伝染病学、第4版、清水悠紀臣等編" 近代出版、東京, 1 (1995)
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[Publications] 喜田 宏: "インフルエンザ(家禽ペスト)カラーマニュアル鳥の病気、鶏病研究会編" 鶏病研究会、東京, 4 (1995)