1996 Fiscal Year Annual Research Report
チェルノブイリ原発事故による放射線の人体に及ぼす影響
Project/Area Number |
07044269
|
Research Institution | Research Institute for Radiation Biology and Medicine, Hiroshima University |
Principal Investigator |
今村 展隆 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 講師 (60110821)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
BEBESHKO Vla Ukrainian Research Center for Radiation, 所長
木村 昭郎 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 教授 (70127645)
|
Keywords | 急性骨髄性白血病 / 急性リンパ性白血病 / 慢性骨髄性白血病 / 慢性リンパ性白血病 / 骨髄異形成症候群(MDS) / リクイデーター(除染作業従事者) / キエフ / 血液腫瘍疾患 |
Research Abstract |
キエフ(ウクライナ)の放射線医学研究センター(ベベシュコ所長)では、クリメンコ教授を中心として12万名のリクイデーター(除染処理作業従事者)を毎年健康管理している。彼らは25mSv : 25rem以下の放射線被曝に留めるように設定したとされているが、実際にはそれ以上(一部は100mSv以上)の放射線被爆を受けた可能性を指摘されている。ウクライナ放射線医学センターで1986年以降リクイデーターの白血病発生を調査したところ、1993年までに141名の白血病発症患者を認めそのうち86名は急性白血病であった。放射線医学研究センター血液部門(成人)において、1993年以降1995年9月までに血液腫瘍疾患(悪性リンパ腫を除く)を発症した患者数(リクイデーター)は42名であり、大多数(31名)が男性で年令は20才〜67才であった。 急性骨髄性白血病(AML)は16症例で、FAB分類ではAML,M1,3例、AML,M2,2例、AML,M3,2例,AML,M4,5例、AML,M5,4例であった。一方急性リンパ性白血病は2症例認められ、それらはいずれもALL,L2であった。慢性骨髄性白血病は8症例認められ、慢性リンパ性白血病(B-CLL)は8症例であった。また骨髄異形成症候群(MDS:前白血病状態)も8症例認められた。これらの急性白血病のうち検査し得た二症例において、p53癌抑制遺伝子のExon5及びExon6の欠失を認めた。またこの白血病発症率を非被曝者を対象群として比較したところ、リクイデーターの白血病発症率は有意に高率であることが判明した。 更にキエフの小児病院にてチェルノブイリ事故前後(1980〜1993年)における小児急性白血病発生率をキエフ州、ジトミール州及びポルタフスキー州について調査したが、有意差は認められなかった。 以上の事実より高線量被曝者(リクイデーター)に最近白血病発症の増加傾向が認められていることが示唆される。
|
Research Products
(11 results)
-
[Publications] 阿部和弘: "骨髄異形成症候群患者の重複癌の検討" 広島医学. 48. 1093-1095 (1995)
-
[Publications] 今村展隆: "骨髄異形成症候群におけるp53癌抑制遺伝子の発現及び点突然変異" 社保医誌. 35. 122-125 (1995)
-
[Publications] 今村展隆: "Natural killer細胞白血病の病態と治療-第三リンパ球亜群由来の新臨床疾病概念-" 社保医誌. 35. 117-121 (1995)
-
[Publications] 今村展隆: "被爆者及び非被爆者骨髄異形成症候群におけるp53癌抑制遺伝子の点突然変異" 広島医学. 49. 336-339 (1996)
-
[Publications] 今村展隆: "悪性リンパ腫の予後因子について" 社保医誌. 35. 40-45 (1995)
-
[Publications] HANGAICHI A.: "Inactication of multiple tumor-suppressor genes inbolved in negative regulation of the cell cycle MTS1/p161^<NK4A> CDKN2,MTS2/p15^<1NK4B> p53 and Rb genes in primary limphoid malignances." Blood. 87. 4949-4958 (1996)
-
[Publications] Imamura N.: "Expression and point mutation of p53 suppressor oncogene in patients with myelodysplastic syndrome among atomicbomb survivors and victims of the Chernobyl accident." Experimental Oncology. 18. 333-337 (1996)
-
[Publications] 今村展隆: "被爆者及び非被爆者骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndrome:MDS)におけるp53癌抑制遺伝子の発現及び点突然変異" 広島医学. 49. 336-339 (1996)
-
[Publications] Imamura.N.et al: "Myelodysplastic Syndromes. Advances in Research and Treatment" Elsevier, 413 (1995)
-
[Publications] Imamura.N.: "The Chernobyl Accident. Thyroid,Abnormalities in Children. Congenital Abnormaltites and Other Radiation Related Information -The First Ten Years-" Hiroshima-Nagasaki Peace Foundation, 271 (1996)
-
[Publications] Imamura.N.: "Chernobyl and Human Health(10years after the Accidnet) Scientific and Practical Conference." Health Ministry of Ukraine,Academy of Medical Sciences of Ukraine.(in press),