1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07228252
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
西村 幸雄 九州大学, 機能物質科学研究所, 教授 (50038577)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関谷 博 九州大学, 理学部, 助教授 (90154658)
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Keywords | プロトン移動 / クラスター / トロポロン / レーザ分光 / 超音速ジェット / 高分解能スペクトル |
Research Abstract |
トロポロン(TRN)を溶質分子として,希ガス原子(Ar, Kr, Xe)あるいは分子(N_2, CO, CH_4, C_2H_6, C_3H_8, CCl_4, H_2O)を溶媒分子とするクラスター(TRN-Mn)を超音速ジェット中で生成させて,分子間相互作用がPTに与える影響について検討した。クラスターのS_1←S_0蛍光励起スペクトルと蛍光スペクトルの測定を行い,(0,0)バンドの分裂からトンネリング分裂幅を決定した。水素結合型クラスターについては共鳴多光子イオン化スペクタルの測定を行った。また,クラスターの幾何学配置および安定化エネルギーをLennard-jones(12,6)ポテンシャルを用いる経験的な計算あるいは非経験的計算により評価した。 TRN(OH)-Ar_1およびTRN(OH)-Kr_1のトンネリング分裂幅は,TRN(OH)とほぼ同程度であるが,TRN(OH)-Xe_1ではわずかに減少する。CH_4, C_2H_6, C_3H_8とTRNの1:1クラスターではTRN(OH)の75-90%以下に減少する。これに対して,N_2, COとの1:1クラスターでは分裂幅が著しく減少した。1:2クラスターについては,Ar, Kr, XeとのクラスターではTRN(OH)の分裂幅より同程度,あるいは,やや増加する傾向がみられる。他方,炭化水素とのクラスターでは逆に減少する。C_2H_6とのクラスターにおいて2つの安定構造に帰属できるスペクトルが観測された。 以上の結果から,TRNクラスターのプロトントンネリングは,(1)クラスター内における溶媒Mの配置と配位数(クラスターの構造),(2)分子間相互作用の大きさと異方性により大きな影響を受けることが明らかになった。また,最近,9-ヒドロキシフェナレノン(9HPO)基底状態におけるトンネリング分裂幅の振動モード依存症を見出した。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Hiroshi Sekiya: "Proton tuneling 5-chlorotropolone-M_1(M=Kr, Xe, CH_4) van der Waals complexes" Laser Chemistry. 15. 229-724 (1995)
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[Publications] Hiroshi Sekiya: "Electronic spectrum of jet-cooled 9-hydroxyphenalenone-d. Vibrational mode specific proton tunneling in the S_0 state" Chemistry Letters. 893-894 (1995)
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[Publications] Hiroshi Sekiya: "Electronic spectra of jet-cooled tropolone-M_n(M=1,2)clusters. Microscopic solvent effects on proton tunneling in the S_1 state" The Journal of Chemical Physics22GD03:103. 3895-3906 (1995)
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[Publications] 関谷 博: "超音速ジェット冷却された有機分子のプロトントンネリング" 分光研究. 44. 301-314 (1995)