1995 Fiscal Year Annual Research Report
イットリアを固溶したセリアの噴霧乾燥法を用いた低温調製
Project/Area Number |
07230226
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
中川 善兵衛 東京工業大学, 工業材料研究所, 助教授 (90016832)
|
Keywords | セリア固溶体 / イットリア / 噴霧熱分解法 / シュウ酸塩複塩 / 均一沈澱法 |
Research Abstract |
セリアとイットリアの組成比が9:1となるように、3価のセリウムとイットリウムの硝酸塩、塩化物、硫酸塩混合アルコール水水溶液を調製し、500℃または600℃に保持した電気炉中に噴霧して乾燥物を得た。硫酸塩噴霧乾燥物は硫酸塩が分解せず無水硫酸塩であったが、硝酸塩と塩化物では塩が分解してセリアとなった。塩水溶液を噴霧すると噴霧試料の温度が低下するのが普通であるが、本実験ではアルコール混合水溶液として温度の低下を抑制した。この点は、硫酸塩噴霧乾燥の生成物から、ほぼ電気炉の制御温度に近いことが確認された。噴霧乾燥で得られたセリアの粉末X線回折ピークはブロードであり、格子定数からイットリアの固溶量を検出することは困難であった。 噴霧乾燥物のセリアの粉末評価をより正確に行うには、粉末の性質がより正確に評価された標準物質が必要である。この標準粉末を作製する目的で、セリウムとイットリウム混合水溶液からシュウ酸塩水和物複塩を経由した粉末の調製を行った。出発溶液である硝酸塩、塩化物、硫酸塩のいずれも熟成時間を長くすればシュウ酸塩10水和物複塩が生成した。硝酸塩から調製では初期の沈澱物から10水和物複塩であった。こ複塩の格子定数を測定した結果、セリウムとイットリウムの単独シュウ酸塩10水和物との間のVegard則に従わなかった。しかし、複塩の熟成時間による格子定数の変化僅かで、熟成中の組成変動は少ないと考えられた。シュウ酸塩10水和物複塩を加熱すると300〜370℃にかけてシュウ酸根の脱離と燃焼による発熱及び減量が認められ、400℃加熱でセリウム4価の酸化物に変化した。X線回折による結晶子の大きさは7.5nmであり、TEMの観察結果からも同程度の粒子径の大きさが観察されたので、酸化物内のセリウムとイットリウムの組成の不均一は僅かであると考えられる。
|