1995 Fiscal Year Annual Research Report
tRNAとaaRSの複合体形成の初期過程としてアンチコドンの識別機構の重要性
Project/Area Number |
07250208
|
Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
今野 美智子 お茶の水女子大学, 理学部, 助教授 (50114484)
|
Keywords | メチオニルtRNA合成酵素 / Thermus thermophilus / X線結晶構造解析 |
Research Abstract |
これまでアミノアシルtRNA合成酵素(aaRS)が、対応するtRNAを識別しアミノアシル化の反応を促進する過程において、aaRSの構造は変わらないという仮定で解析が行われてきた。Thermus themophilus由来MetRS(T-MetRS)においても種の異なるE.coli由来MetRS(E-MetRS)と骨格が同じであると仮定し、E-MetRSをサーチモデルとして分子置換法を試みたが失敗に終わった。このことはN末端ヌクレオチド結合ドメインとC末端アンチコドン識別ドメイン間の相対的配向が異なることを示唆すると考え解析を行なった。その結果、T-MetRSの二量体形成ドメインを除去した503のアミノ酸残基より成る酵素単量体の分子全体の配置を求めることが出来た。反射強度は、高エネルギー物理学研究所の放射光測定系を用い収集した。母結晶は、2.0Åの分解能で独立の反射33347個(Rmerge=7.0%)を得た。多重同型置換法によりPHASESプログラムで解析を進め、3.5Å分解能の反射で重原子位置の精密化を行い、6595個の反射に対しfigure of meritは0.478であった。solvent flattenigの位相から得た電子密度図は分子の明確な境界を示した。3次元グラフィックス上でOプログラムを用いてC末端ドメインのαヘリックスを構築し、E-MetRSをそれに合わせ、ミニマップ上でN末端ドメインの配向のずれを考慮し骨格を同定した。予想通り30残基削除のある126から222のループの周囲は電子密度が低くE-MetRSと大きな構造の違いを示す。この部分を除くほぼ全てにおいてミニマップでトレースすることができた。C末端ドメインと二量体形成ドメインを結ぶ505から551のC末端は、E-MetRSではN末端ドメインに戻る。しかし、対応する468から503のT-MetRSのC末端は、C末端ドメインの末端に付いている。E-MetRSでは、N末端ドメインに戻ることよりN末端とC末端ドメインが固定されるが、T-MetRSでは、相互に動きやすいことを示す。
|