1995 Fiscal Year Annual Research Report
エイズの病態と制御に関する基礎研究、エイズの動物モデル
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07277106
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
速水 正憲 京都大学, ウイルス研究所, 教授 (40072946)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩倉 洋一郎 東京大学, 医科学研究所, 教授 (10089120)
田中 勇悦 北里大学, 理学部, 助教授 (30163588)
木梨 達雄 東京大学, 医科学研究所, 助手 (30202039)
見上 彪 東京大学, 農学部, 教授 (20091506)
向井 鐐三郎 国立予防衛生研究所, 筑波医学実験用霊長類センター, 主任研究員 (90133040)
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Keywords | サル免疫不全ウイルス / ネコ免疫不全ウイルス / トランスジェニックマウス / マウスエイズ / ヒト免疫不全ウイルス / スキッドマウス |
Research Abstract |
エイズの予防・治療法を確立するには、ヒトに代わってHIV-1の病原性発現の過程を実験的に解析することができ、また試作ワクチンの効果や安全性の評価に使用できる動物モデル系の開発は必須である。本研究(柱4)では、サル類からネコ・マウス等の小動物までを用いて、エイズの動物モデル作成とその応用に向けて多面的に研究を推し進めた。本年度の主な成果としては、次の通り。1)サルの系 SIV_<mac239>を接種したカニクイザルが3年半余りを経て脳炎を発症し、輸血によりサル継代したところ、20週目に脳炎症状を呈し63週目に死亡した。アカゲザルを用いた場合に比べ発症までの期間が短縮され、エイズ脳症の発病機構はもとより、新しい宿主への適応やMφ指向性(あるいは向神経性)獲得機構の解析に好適の材料が得られた(向井)。SHIV(HIV-1/SIVキメラウイルス)のサル感染では、長期持続感染が成立した個体の中で見られたHIV-1のenvの変異を解析した結果、中和抗体からのエスケープであることが分かった。また感染効率の良いSHIV(NM-3rN)接種サルよりin vivo継代した3頭の内、1頭が14週でエイズ様症状を示し死亡した。詳細な検討を持たねばならないが、SHIVによる発症として初めての症例である。さらにSIVmac32H株の経膣感染では、初期に限定されたpopulationの選択が起こることが判明した(以上速水)。2)マウスの系 ヒトPBLの生着が良いSCIDマウスの系統を検索し、生着率の高いものではHIV-1感染の成立およびCD4^+T細胞の減少を観察した(田中)。HIVトランスジェニックマウスでは、LPS(菌由来多糖類)投与によりHIV遺伝子の活性化が見られ、サイトカイン類との関連が注目された(岩倉)。またXIDマウスの骨髄細胞移植により、MAIDS発症が抑制された(木梨)。3)ネコの系 FIVのvif、ORF-A、LTRのAP-1site各々の欠失変異株のネコ感染実験から前2者のウイルス増殖への重要性と、in vitroにおける細胞核内蛋白のLTRへの特異的結合が明らかとなった(見上)。以上、種々の動物モデルの研究がそれぞれ作成の段階から、さらにそれらを用いて病態の解析が可能であるという段階に入っていることが実証された。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Kuwata, T., et al: "Construction of human immunadeficiency virus 1/simian immunodeficiency virus strain mac chimeric viruses having vpr and/or nef of different parental origins and their in vitro and in vivo replication." J. Gen. Virol.76. 2181-2191 (1995)
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[Publications] 速水正憲: "サルからみたエイズ、HIVは何処から来て何処へ行くのか" モダンメディア. 41. 44-51 (1995)
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[Publications] 速水正憲: "エイズワクチンの評価にサルの使用を可能にした組み換えウイルスの作成" Molecular Medicine. 32. 663-664 (1995)
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[Publications] 五十嵐樹彦、他: "SIV/HIV-1キメラウイルスを用いたサルによるエイズワクチンの評価系の確立とエイズ生ワクチン開発の試み" 医学のあゆみ. 176. 92-97 (1995)
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[Publications] Nishijima, I., et al: "A haman GM-CSF receptor expressed in transgenic mice stimulates proliferation and differention of hemopoietic progenitors to all lineages in response to human GM-CSF." Mol. Biol. Cell,. 6. 497-508 (1995)
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[Publications] Iwakura, Y., et al: "Autoimmunity inoluction by human T-cell leukemia virus type I in transgenic mice that develop chronic inflammatory arthropathy resembling rheumatoid arthritis in humans" J. Immunol.155. 1588-1598 (1995)
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[Publications] Tagawa, Y., et al.: "Replacement in mice of the interferon(IFN)-rgene with β-galactosidase by gene targeting." J. Interferon Cytokine Res.15. W-60 (1995)
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[Publications] Saijo, S., et al.: "Autoimmunity induction by human T-cell leukemia virus type 1 in transgenic mice that develop chronic inflammatory arthropathy resembling rheumatoid arthritis in humans." J. Interferon Cytokine Res.15. W-21 (1995)