1997 Fiscal Year Annual Research Report
一般均衡理論における企業理論と予算制約式:理論と実証
Project/Area Number |
07303002
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
久我 清 大阪大学, 社会経済研究所, 教授 (50029914)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浦井 憲 大阪大学, 経済学部, 助教授 (00203597)
入谷 純 神戸大学, 経済学部, 教授 (30107106)
永谷 裕昭 大阪大学, 経済学部, 教授 (30116074)
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Keywords | 企業・法人 / 予算制約式 / 経済効率性 / 法人実在説 / 非完備市場 / 一時的均衡 / 一般均衡 |
Research Abstract |
現在の一般均衡理論(GE),就中,伝統的な企業理論がその記述に重要な理論構成要素であるはずの予算制約式・販売・産出投入・在庫活動等の記述を行っていない。そのような非現実的なあり方を改めて,企業は財を所有し,家計のように予算制約式をもち,産出投入・販売購入・在庫設備投資計画を策定し実行する森嶋(1950,1992,1996)型の構造をもつものと規定した。現在のGEにおける均衡解の存在とそのパレト効率性命題が企業を単なる利潤最大化原理に依る組織と見る法人擬制説に依存している事とは対照的に,我々は市場の構造を多期間型一時的均衡として追求し,企業がいずれの期間においても収支条件の制約下にあり,財所有を行う組織として利潤の現在価値の流れの総和を最大化するものと規定するとき,「厚生経済学の基本定理」が受ける制約を価格メカニズムの本質論として展開した。家族とその家計行動についても,複数のリーダーがそれぞれ異なった価値観をもって家族の意思形成を統合するメカニズムを一般均衡理論的に活写し,家族意志への連帯と個人の自由意志の共存の可能性を検証し,併せて,予算制約式のみならず,家計も産出投入・販売購入・在庫設備投資計画を策定し実行する経済活動主体たちの集まりとして規定した。 このような流れと従来のアプローチを統合的な視野から検討することもまた重要である。完全予見的な動学理論において,明らかに企業というものの像は単純化されすぎており,また一時的一般均衡理論においては市場の非完備性という問題が(そもそも完備性などありえないという立場から議論が始まっているがゆえに)議論の中心にはならず,それゆえ市場構造が明確でないという欠点が存在する。一時的一般均衡モデルと完全予見型の非完備市場一般均衡モデルとを総合的に扱うことによって,動学的経済の運行を描く最も普遍的な枠組みを提供し,同時にその範疇に入らないものを浮き彫りにしたという作業は,本研究課題における重要な成果の一つである。租税論は従来法人の資産所有を認めないモデルすなわち法人擬制説にしたがって商品課税と効率性について検討してきたが,法人実在説を念頭に置けば,法人の資産所有が明瞭に考察されねばならない。この点で,企業の予算制約の有無が,法人実在説と法人擬制説のどちらの立場をとるかへの分岐点となるが,我々の研究プロジェクトでは,法人実在説にもとずいて法人所得への課税がどの経済主体への相対的に重い課税になるかという租税帰着を研究した。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] NAGATANI,Hiroaki: "GES Family of Homothetic Preferences : Continuity certh respect to Parameters" Diswssion papers in Economics and Business,Faculty of Economics,Osaka University. 95-18. (1995)
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[Publications] KUGA,Kiyoshi: "Budget constraint of afirm and economic theory" Economic Theory (Springer Uerlag). 8. 137-153 (1996)
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[Publications] 入谷純: "企業の予算制約下の租税帰着-1つの数値例-" 国民経済雑誌. 174巻5号. 31-42 (1996)
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[Publications] URAI,Ken and Takashi HAYASHI: "A Generalyzation of Continuity and Conexity Conditions for Cares ponderces in the Economic Equilibrium Theory" Discussion Paher,Faculty of Economics and Osaka Shool of Internation Public Polcy. (1997)
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[Publications] 入谷純・久我清: "商品税率と非課税戝-最適課税論を巡って-" 国民経済雑誌. 174巻6号. 79-107 (1996)
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[Publications] URAI,Ken: "A Game Theoretic Characterization of Monetary Equilibria in Perfect Foeright Double Infiaty Economic" Discussion Papers in Economics and Business,Faculty of Econonics,Osaka University. 95-9. (1995)
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[Publications] 久我・入谷・永田・浦井: "一般均衡理論の新展開" 多賀出版, 424頁 (1998)
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[Publications] 神谷和也・浦井憲: "経済学のための数学入門" 東京大学出版会, 375頁 (1996)