1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07309007
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Research Category |
Grant-in-Aid for Co-operative Research (A)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
坂東 尚周 京都大学, 化学研究所, 教授 (70027027)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥田 喜一 大阪府立大学, 工学部, 教授 (50028205)
北沢 宏一 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (90011189)
鯉沼 秀巨 東京工業大学, 工業材料研究所, 教授 (70011187)
井口 家成 東京工業大学, 理学部, 教授 (10011173)
庄野 安彦 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (80013481)
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Keywords | 高温超伝導体 / 新物質探索 / 磁束格子融解転移 / STM / 高圧合成 / Re置換水銀系銅酸化物 / a軸配向YBCO膜 / 梯子格子 |
Research Abstract |
本研究は、(1)異方性の化学的制御と新物質探索、(2)原子層制御と電子機能設計、(3)異方性とボルテックス状態の解明を目的として組織されたものである。本年の成果は以下の通りである。 (1)異方性の化学的制御と新物質探索 : Bi系の大きい異方性を制御する目的で、AglとHg_2Cl_2をBiO層間にインターカレートすることに成功し、超伝導性を調べた。Hg系銅酸化物にReを添加するとHg位置にReが置換することを確かめ、異方性が改善され、良好なピニング特性を示すことを見出した。不可逆磁界が10T以上になるので、実用材料としての可能性が高まった。新物質としては高圧合成により梯子格子からなるSrCu_2O_3とSr_2Cu_3O_5が発見され、その物性が検討された。その結果、理論から予想されたスピンギャップが2本足梯子格子SrCu_2O_3で見出され、さらに理論的に予想されるキャリアドープによる超伝導化への努力が行われている。(2)原子層制御と電子機能設計:プラズマ励起現象を利用した超高速超伝導結晶デバイスが提案された。人口粒界接合におけるジョセフソン輸送特性が調べられ、またSISトンネル接合として期待されているa軸配向YBCO薄膜で、クラックのない高T_cの薄膜作製に成功した。Yを一部Caで置換したYBCOを常伝導体としたYBCOのSNSトンネル接合を作り、そのトンネル特性を明らかにした。SrTiO_3とYBCOのヘテロ接合を用いて電界効果が測定され、KT転移点の変化を観測した。(3)異方性とボルテックス状態の解明:La系、Y系、Bi系および有機超伝導体の低磁場-温度の相図の中で、唯一の一次相転移と思われる磁束格子融解転移について、実験的には、SQUID、局所磁場測定、超音波測定、磁気トルク測定によって検討され、またその転移について理論的な説明がなされた。一方、これまでBi-2212でジョセフソンプラズマ共鳴が観測され注目されているが、Bi-2201でマイクロ波吸収を磁場の関数として測定し、ジョセフソンプラズマ共鳴の存在を明らかにした。その現象はBi-2212ときわめて異なっている。この他STMによる高温超伝導トンネルスペクトル観察の問題点について議論された。
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