1997 Fiscal Year Annual Research Report
モジュール置換に基づく新機能ヘム蛋白質分子の設計と合成
Project/Area Number |
07409003
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
森島 績 京都大学, 工学研究科, 教授 (50026093)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 聡 京都大学, 工学研究科, 助手 (30283641)
石森 浩一郎 京都大学, 工学研究科, 助教授 (20192487)
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Keywords | モジュール / エクソンシャフリング / グロビン蛋白質 |
Research Abstract |
本年度は比較的安定な構造を示すいくつかのモジュール置換グロビンの構造・機能解析と、グロビン蛋白質以外におけるモジュール置換の例として、モジュール置換ペルオキシターゼの分子設計とその機能について検討を行った。モジュール置換グロビンの構造解析としては、ミオグロビンのモジュールm6(ヘム結合モジュール)をヘモグロビンのαサブユニットのm6で置換したMbαなどに注目し、種々の分光法によってその構造的特徴を明らかにした。デオキシ状態のMbαのNMRスペクトル、共鳴ラマンスペクトルはヘモグロビンαサブユニット型を示し、このことはヒスチジンの配位がm6の置換により、ミオグロビン型からヘモグロビンαサブユニット型に変換されたことを示している。一方、配位子結合部位周辺のアミノ酸に由来するNMRシグナルにはこのような顕著な変化はみられず、モジュールm6の置換により、軸配位子であるヒスチジン近傍のみが構造変化したものと考えられた。このことはモジュールm6がヘムの結合様式を決定しているモジュールであることを示している。一方、グロビン蛋白質以外のモジュール置換の例としてペルオキシターゼ類に注目し、代表的なペルオキシターゼである西洋わさびペルオキシターゼにおいて、カルシウムイオン結合部位を構成するモジュール(M12)を、カルシウムイオンを結合しないシトクロムcペルオキシターゼの対応するモジュールと入れ替えることを試みた。その結果、モジュール置換したペルオキシターゼは構造的に非常に不安定で、本来の気質である過酸化水素やシトロクロムcペルオキシターゼの基質であるシトクロムcとも反応しなかった。このことは、従来、本研究者らがグロビン蛋白質における系統的なモジュール置換の結果から指摘してきたように、安定な蛋白質形成にはモジュール間の相互作用を検討する必要があることも示している。
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[Publications] Wakasugi,K., Ishimori,K., Morishima,I.: ""Module"-substituted Globins : Artificial Exon Shuffling Among Myoglobin,Hemoglobin α-and β-subunits" Biophys. Chem.68. 265-273 (1997)
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[Publications] Inada,K., Wakasugi,K., Ishimori,K., Konno,T., Kataoka,M., Morishima,I.: "Structural and Functional Roles of Modules in Hemoglobin. -Substitution of Module M4 in Hemoglobin Subunits-" J.Biol. Chem.272. 30054-30060 (1997)
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[Publications] Inada,K., Ishimori,K., Imai,K., Morishima,I.: "Structural and Functional Effects of Pseudo-module Substitution in hemoglobin Subunits : New Structural and Functional Units in Globin Structure" J.Biol.Chem.273(印刷中). (1997)