1996 Fiscal Year Annual Research Report
小笠原におけるメディアの多様化と社会構造の変容に関する研究
Project/Area Number |
07451052
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Otsuma Women's University |
Principal Investigator |
前納 弘武 大妻女子大学, 社会情報学部, 教授 (60123030)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
炭谷 晃男 大妻女子大学, 社会情報学部, 助教授 (90196915)
飯田 良明 千葉経済大学, 経済学部, 教授
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Keywords | テレビ地上波 / メディア / 情報化 |
Research Abstract |
小笠原村におけるテレビ地上波導入にともなう離島社会の変容を解明しようとする本研究は、1995年11月に実施した第1次調査の結果をうけて、今年度は96年6月に第2次調査を実施した。この2つの調査は、96年4月のテレビ地上波放送の開始をはさんで、事前調査・事後調査という位置づけになる。ただし、本研究の全体計画からいえば、放送開始3か月後の第2次調査は、いわば緊急事態に対応した直後調査であり、いま少し時間を経た97年6月頃、約1年を経過した平常事態での事後調査を第3次調査として予定している。 そこで第1次、2次調査の結果から主要な傾向を指摘しておくと、先ず第1に、地上波の導入は小笠原住民のテレビ視聴時間を大幅に増大させた。娯楽の少ない小笠原では、1日4,5時間テレビをみるという長時間視聴は平日でも2割近かったが、直後調査では、約3割という結果になった。これが休日になると、45,6%という数字を示しており、地上波導入の直後の興奮状態を見てとることができる。第2に、よく視聴する番組については、ドラマやクイズ、バラエティ番組などが増えているのに対し、ニュースやスポーツ、映画等の番組が減っている。これまでのNHK衛星放送のみという放送システムから、多チャンネル化への変化を垣間みせる結果である。第3に、地上波導入の結果、日常生活における人々の関係性のあり方がどう変化したかという問題についてみると、テレビに関する話題をもとに人と人との交流がコミュニティに向けて広がっていくという図式よりも、家族というプライベートな生活圏に収束していくという傾向がみられた。テレビ地上波は必ずしも小笠原という離島社会の統合に貢献していないという仮説を新たに引き出す結果となったが、これについては、次年度に予定している第3次調査の中心的課題に設定したいと考えている。
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