1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07451083
|
Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
若松 寛 京都府立大学, 文学部, 講師 (60046472)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 伸也 京都府立大学, 福祉社会学部, 助教授 (30212137)
渡邊 伸 京都府立大学, 文学部, 助教授 (70202413)
渡辺 信一郎 京都府立大学, 文学部, 助教授 (10031618)
河村 貞枝 京都府立大学, 文学部, 教授 (70111911)
|
Keywords | 帝国システム / 英雄叙事詩 / 民族 / 宗教 / 言語 / 儀礼 |
Research Abstract |
本研究は、多様な生産形態・民族・言語・宗教・文化を基礎に政治的統合を達成した国家を帝国システムとしてとらえ、システム内部の諸要素の比較史的検討をつうじて、世界史上における多様な政治的統合のあり方を解明するとともに、国家そのものの現在的意味を問いなおすことを目的とし、3年間にわたって共同研究をおこなってきた。その成果は、つぎのとおりである。若松寛は、清朝による青海地方平定の後、ここに設置された旗の数に関し、当初の29旗が1746-1806年の期間のみ30旗あったことを解明した。河村貞枝は、ヴィクトリア期からエドワード期にかけての帝国体制・帝国文化の中で形成されたイギリスの「第一波」フェミニズム運動をとりあげ、その本質が帝国主義の問題を中心に内方するものであったことを指摘し、「インド女性」との関係、ボ-ア戦争に対する姿勢、国際的なフェミニズムの連携に果たした役割などを考察した。渡辺信一郎は、『大唐開元礼』に規定される唐王朝の元旦儀礼の訳注をおこない、元旦儀礼をつうじて象徴的に表現される皇帝と中央官僚との君臣関係、中央政府と地方政府及び諸外国・異民族との政治的従属関係の存在を指摘し、それらを唐王朝の帝国構造として把握した。渡邊伸は、神聖ローマ帝国に関する近年の二つの研究動向に注目した。その一つは、帝国を「平和」のための法共同体とするものであり、いま一つは皇帝を中心とする人的結合関係から帝国をとらえようとする。そして事例考察から帝国システムの解明に後者の方向が有効と指摘した。橋本伸也は、3次にわたるポーランド分割によってロシア領となった西部諸県の18世紀以来の教育的伝統を踏まえたうえで、19世紀前半のポーランド・シラフタを対象とした帝国の民族教育政策の転回について考察した。
|
Research Products
(1 results)