1996 Fiscal Year Annual Research Report
岩盤割れ目系の構造変化を考慮した地下水流れ、物質移動に関する研究
Project/Area Number |
07454119
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
渡辺 邦夫 埼玉大学, 工学部, 助教授 (00008880)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳永 朋祥 東京大学, 工学部, 助手 (70237072)
長田 昌彦 埼玉大学, 工学部, 助手 (00214114)
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Keywords | 岩盤 / 水みち / 割れ目系 / 透水実験 / 地下水 |
Research Abstract |
本研究は,岩盤を対象としたエネルギー施設の地下立地や高レベル核廃棄物の地層処分等において,問題となる地下水流れの把握を試みたものである。特に水みちの形成過程を考慮することにより,これまで極めて複雑でり適切な評価手法のなかった岩盤内の地下水流れの特徴を明らかにすることにある。 まず原位置における割れ目系の調査を通して,割れ目系全体の卓越方向と水みちとなっている割れ目は必ずしも一致しないこと,単一割れ目内における水の流れは平行平板的なものではなく,スポット的に分布する流れであること,現在の応力場と水みちは密接に関係していること,水みちの形成と地質構造発達史は密接に関係していることが明らかとなった。 次にインタクトな岩石の室内透水試験を実施し,載荷軸方向の浸透特性と載荷軸に垂直な方向の浸透特性について検討した。両者を比較すると,通水方向により浸透特性が異なっており,ピーク応力時には無載荷状態に比べて約3倍程度透水係数が大きくなることがわかった。さらに微小割れ目を有する岩石の変形実験を実施し,軸応力の増加に伴う微小割れ目系の挙動について考察した。また微小割れ目を有する岩石に対して浸透実験を実施し,ピーク応力以後割れ目に沿う変位が生じ,これに伴って透水係数も急激に増加することがわかった。 2つの室内実験の最終的な目的は,インタクトな岩石に対する浸透特性と割れ目を有する岩石の浸透特性を比較することにあったが,現時点では十分な検討ができていない。今後データの蓄積に努め,検討したいと考えている。今後はこのような割れ目系の構造変化を含むような岩盤水理モデルを構築していくとともに、新たな応力ひずみ-浸透連成解析手法を開発していく必要がある。
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[Publications] 森田豊: "地質構造の把握を基礎とした割れ目系のモデル化と地下水流れの解析" 月刊地球. (掲載予定). (1997)
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[Publications] 長田昌彦: "岩盤割れ目系の形成過程を考慮した浸透特性の評価" 月刊地球. (掲載予定). (1997)
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[Publications] 徳永朋祥: "堆積盆シミュレータを用いた油田形成過程の評価" 月刊地球. (掲載予定). (1997)
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[Publications] 鈴木尊: "変形下における岩石の透水性に関する研究" 土木学会年次講演会. III. 616-617 (1996)
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[Publications] 長田昌彦: "顕微鏡下岩石変形実験による微小割れ目のせん断過程の観察" 第46回応用力学連合講演会. 279-280 (1997)
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[Publications] 長田昌彦: "三軸圧縮下における岩石の浸透特性に関する研究" 地盤工学会. (発表予定). (1997)