1996 Fiscal Year Annual Research Report
エコンドライト隕石中の原始希ガス成分(特にU-Xe)の研究
Project/Area Number |
07454141
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
長尾 敬介 岡山大学, 固体地球研究センター, 教授 (40131619)
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Keywords | エコンドライト隕石 / 原始希ガス成分 / U-Xe / ユ-クライト / ダイオジェナイト / パラサイト |
Research Abstract |
本研究は、隕石形成時に捕獲した始源的希ガス成分の組成が未だによく分かっていないエコンドライト、特にHED隕石や石鉄隕石の希ガス組成を調べて、比較的よく分かっているコンドライトの希ガス組成と比較検討することにより、エコンドライト形成の歴史を解明することを目的としている。二年計画の最終年度にあたり、エコンドライトの捕獲成分希ガス同位体組成を多数のダイオジェナイト、ユ-クライト、パラサイトのメタルとシリケートに分離したもの等について測定し、以下の結論を得た。 1)Xe同位体比はH-Xeを持つコンドライトと異なり、明らかに重い同位体に乏しいSolar-XeまたはU-Xeの存在を示す。 2)多数のユ-クライトの^<244>Pu-Xe年代は、これらの隕石が太陽系形成初期45.6億年前頃に形成を開始して全てのユ-クライトが約1億5000万年後までに形成されたことを示す。 3)重希ガス捕獲成分Ar,Kr,Xeの相対存在度はコンドライトや太陽風の中の相対存在度と全く異なるトレンドを持ち、このトレンドには地球及び火星大気、火星起源隕石が含まれる。 これらの知見から、HEDやパラサイトには、その形成時にコンドライトに含まれる微小なダイヤモンドなどのpresolar grainが含まれなかったか、または母天体における溶融の際に完全な脱ガスが行われた後に太陽風から太陽型希ガスを捕獲した可能性がある。しかし月面で行われている太陽風のインプランテーションで軽希ガスに富むため、観測と矛盾する。3)のような重希ガス存在比を説明するためには、重希ガスを相対的に濃縮する吸着などの機構を考える必要がある。U-Xeの存在に関しては、Solar-XeではなくU-Xeであるという明確な証拠が未だに得られていないため、今後も継続して追及する。
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