1995 Fiscal Year Annual Research Report
分子間水素結合系電荷移動錯体の異常な導電特性の解明
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07454181
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
稲辺 保 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20168412)
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Keywords | 電荷移動錯体 / 水素結合 / ジアミノピレン / 電気伝導度 |
Research Abstract |
異常な電気物性を示すことが見いだされた1,6-ジアミノピレン(DAP)とp-クロラニル(CHL)との電荷移動錯体について、構造・物性の詳細について調べた。その結果、中性の交互積層構造の結晶であり、初期状態は絶縁体だが、加熱及び結晶の粉砕によって10^0Ωcmまでに抵抗が減少すること、また、この変化で結晶構造や分子の電子状態が殆ど変化しないということが明らかになった。より詳細を知るために行なった磁性の測定で、低抵抗状態では若干常磁性磁化率が増加することが分かったが、抵抗値を説明できる程のスピン濃度ではなく、やはり殆どの分子が中性状態であるという結論には変わりがなかった。中性の交互積層構造の結晶がこれ程までに導電性が高いことはこれまでの常識では考えられず、この結晶の特徴である分子間水素結合に注目してDAPとp-ブロマニル、ジブロモジクロロ-p-ベンゾキノンとの電荷移動錯体へと系を拡張し、同じような異常な物性が現れるかどうかを調べた。その結果、両者の結晶ともほぼ中性の交互積層型の結晶構造を与えることが分かったが、多形の存在も見いだされた。結晶によっては10^1Ωcmの初期抵抗値を示すものや、加熱処理により低抵抗状態に変わるものがあることが分かり、DAPを電子供与体とする水素結合をもった電荷移動錯体が特殊な導電特性を示すことが確認された。比較のためにDAPとBF_4^-とのラジカルカチオン単純塩の物性も調べたが、この物質は異常な電気物性を示さず、電子供与体と電子受容体との間に形成される水素結合が、特異な電気物性の出現には必要であることが示唆された。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 朝日秀眞、他: "“Novel Conducting Charge-Transfer Complexes of 1,4,5,8-Naphthalenetetrone(NTO)and 1,4,9,10-anthracenetetrone(ATO)"" Synthetic Metals. 70. 1117-1118 (1995)
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[Publications] 武田 定、他: "“ESR Study on the Charge Transfer Complexes of N-Salicylideneanilines Containing NHO Hydrogen Bond as a Dynamic Function"" Synthetic Metals. 70. 1211-1212 (1995)
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[Publications] 関川太郎、他: "“Mid-Gap State of the Quasi-One-Dimensional Mott-Hubbard System:Charge Transfer Complex Composed of 1,6-Pyrenediamine and Tetracyanoquinodimethane(DAP-TCNQ)"" Synthetic Metals. 70. 1213-1214 (1995)
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[Publications] 後藤裕利、他: "“High-Resistance Phase and Low-Resistance Phase in 1,6-Diaminopyrene-p-Chloranil(DAP-CHL)"" Synthetic Metals. 70. 1213-1214 (1995)
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[Publications] 後藤裕利、他: "“Crystal Structure and Physical Properties of 1,6-Diaminopyrene p-Chloranil(DAP-CHL)Charge-Transfer Complex.Two Polymorphs and their Unusual Electrical Properties"" Bulletin of the Chemical Society of Japan. 69. 85-93 (1996)