1996 Fiscal Year Annual Research Report
イネ科植物葉枯病菌のDNA多様性解析と分子同定法の確立
Project/Area Number |
07456029
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
津田 盛也 京都大学, 農学研究科, 教授 (10026578)
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Keywords | Bipolaris / Curvularia / Drechslera / Exserohilum / トウモロコシごま葉枯病菌 / メラニン生合成 / Brnl遺伝子 / 系統関係 |
Research Abstract |
平成8年度に得られた研究結果は以下のとおりである。 1.トウモロコシごま葉枯病菌(Cochliobolus heterostrophus)のメラニン生合成に関与するBrnl遺伝子のオープンリーディングフレーム(ORF)804bpの塩基配列を決定し、アミノ酸267残基で構成されるタンパク質をコードしているものと推定した。さらに、相同性検索を行った結果、他の糸状菌の還元酵素の遺伝子と相同部位が多く存在することが明らかとなった。 2.先に明らかにしたBrnl遺伝子の塩基配列を用いて、いわゆるイネ科植物寄生性Helminthosporium属菌として取り扱われてきたBipolaris、Curvularia、Drechslera、Exserohilumの各属菌の系統関係の推定を試みた。この結果、Helminthosporium brizaeはDrechsleraに属すこと、Exserohilum属菌は、比較的新しくBipolaris-Curvulariaから分化した可能性が示唆された。また、同一種であっても分生子形態の変異がとくに著しい菌群であることが明らかとなった。 3.現在さらに、Helminthosporium sigmoideum(イネ小球菌核病菌)、Helminthosporium sigmoideum var.irregulare(イネ小黒菌核病菌)はじめ、メラニン色素を産生する植物病原菌類について、Brnl遺伝子の塩基配列から見た系統関係の推定、同定基準の確立に向け研究中である。 4.Bipolaris-Curvularia属菌の簡便な交配型決定法を開発した。すなわち、トウモロコシごま葉枯病菌のMat遺伝子の部分塩基配列をプライマーとしてPCR法によって増殖後、バンドパターンを比較すれば、短時間で交配型の決定が行えることが明らかになった。
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Research Products
(1 results)