1995 Fiscal Year Annual Research Report
新生子の脳発育における腸管バリアーと血液-脳関門の生理学的な役割
Project/Area Number |
07456135
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
原田 悦守 鳥取大学, 農学部, 教授 (90001536)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹内 崇 鳥取大学, 農学部, 助手 (20216849)
七條 喜一郎 鳥取大学, 農学部, 助教授 (50032298)
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Keywords | 腸管バリアー / 血液・脳関門 / 初乳 / 人口哺育 / 生理活性物質 / 消化管運動 / 高分子物質の吸収 / 脳脊髄液 |
Research Abstract |
乳汁に含まれる生理活性物質の新生子消化管上皮細胞からの取り込み動態及び腸管バリアーの制御機構の成果を基礎として、未成熟な新生子の脳の発育に対する血液-脳関門及び脳脊髄液関門の役割を解明するため3つの実験を行い、次のような結果を得た。 実験-I.人工哺育下におけるウサギ新生子腸管の生後発達 ウサギ新生子の人工哺育を試み、主として高分子物質取り込み能及び二糖類分解酵素活性を指標として腸管の生後発達に及ぼす諸因子の作用を解析した結果、ウサギ新生子の腸管機能はラットについての報告とは異なって、人工哺育によって母乳群よりもむしろ早期に成熟型に移行する事が明らかとなった。その機序としては副腎皮質ホルモン以外の要素に起因することが示唆された。 実験-II.ミルク成分による摘出腸管の運動制御作用 ミルク成分及び腸管内で生成された生理活性物質の消化管機能、特にその運動制御作用を解析した。モルモット及びラットの摘出腸管から作成した回腸のホールセグメントを用いて、トレンデレンブルグ法による内圧変動にたいする腸管の運動性を指標として検討を進め、腸管標本の作成,低圧トランスジューサ-の感度など、装置の改良によって漸く圧上昇にたいする腸管運動反応がえられるようになった。現在、カゾモルフィンなど既知なる物質の作用を解析している。 実験-III.初乳成分の血清及び脳脊髄液への移行動態 出生直後のブタ新生子を用いて、ウシ初乳の経口投与によるミルク成分の血清及び脳脊髄液への移行動態を各種電気泳動法及びELISA法によって検索を進めている。 血清タンパク質は、ウシ初乳投与後、経時的に増加し、投与後24時間で出生時の約2.8倍量となった。初乳中の高分子及び低分子タンパク成分(分子量約19,000〜58,000)が血液中へ移行することを確認できた。 血液中へ移行した高分子タンパク質成分は主としてウシIgGであった。 現在、血液に移行した成分の脳脊髄液への移行動態並びに脳内伝達物質の変動を解析している。
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