1997 Fiscal Year Annual Research Report
高負荷土壌における有用根圏細菌の生態制限因子および活性化条件の解明
Project/Area Number |
07456153
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
松口 龍彦 九州大学, 農学部, 教授 (40243943)
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Keywords | 蛍光性シュードモナス / 植物根圏 / カルシウム / 根圏定着 |
Research Abstract |
これまで、野菜栽培施設などの塩類高負荷土壌および低負荷両土壌の根から分離した蛍光性シュードモナスのHR菌株群およびLR菌株群の比較解析によって、塩類高度負荷土壌ではCa負荷の増大が蛍光性シュードモナスの増殖や走化性機能に阻害的影響を及ぼし、それが根圏定着の制限因子となっていること、またHR菌株群とLR菌株群は遺伝的に異なるグループであり、HR菌株は相対的に増殖や走化性がCaに耐性であることを見出した。 そこで、LR菌株およびHR菌株について低負荷および高負荷土壌のホウレンソウ根圏での挙動を比較し、両菌株の各土壌における根圏定着能力の違いを明らかにすることを目的とした。そのために、遺伝子マーカーによって標識したLRおよびHR菌株を作製した。遺伝子マーカーとしてカナマイシン耐性遺伝子を用い、この遺伝子をトランスポゾンベクターによって標識したLR菌株あるいはHR菌株を用いた。低負荷および高負荷土壌にこれらの菌株を様々な組合せで接種し、その遺伝子マーカーをもとに根面における両菌株の菌数や定着部位を追跡した。その結果、低負荷土壌ではLR菌株の根圏定着力は高いが、高負荷土壌では著しく根圏定着力が低下した。一方、HR菌株は高負荷土壌でも大きな根圏定着力の低下は認められなかった。即ち、Ca負荷の進んだ高負荷土壌では、LR菌株群の根圏定着は抑制され、Ca耐性のHR菌株群の方が優占的に定着することが示された。
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Research Products
(1 results)