1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07457118
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Research Institution | Wakayama Medical College |
Principal Investigator |
辻 力 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (50073680)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
刀祢 重信 (財)東京都臨床医学総合研究所, 放射線医学研究部門, 研究員 (70211399)
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Keywords | 損傷 / 細胞死 / アポトーシス / ネクローシス / TNF-α |
Research Abstract |
本研究では、損傷に伴う細胞死をapoptosisとnecrosisという2つの細胞死機構に基づき細胞生物学的に検討した。 新規に考案・作製した電子温度制御発熱装置を用い、ラット肝を37℃、50℃、65℃5分間加熱し、損傷肝を作製した後、所定時間生存させた。これら損傷肝組織について、組織化学染色、TUNEL法によるapoptosis染色、抽出DNAの電気泳動等により損傷肝組織の細胞死を生存時間毎(経時的)に解析した。各温度ともapoptosisの出現は経時的(生存時間に対して)二峰性を示した。第一のapoptosisは、37℃では損傷部全域に認められた。しかし、50℃及び65℃では損傷の辺縁部から始まり中心部に向かって進展し、HE染色において核の凝縮が損傷部と正常の境界領域に顕著であり、37℃の所見とは明らかな相違を示した。これは損傷辺縁におけるapoptosisが温度の直接的影響によることを示すものと考えられる。第二のapoptosisも、いずれの温度においても損傷の辺縁部から中心部に向かって進展し、その時間経過は、好中球の損傷部位への浸潤にほぼ同調していた。 TUNEL法でapoptosisが著明な肝組織から抽出したDNAをアガロース電気泳動法により分析するとラダーが検出され、生化学的にもapoptosisが確認された。 損傷組織におけるnecrosisは、時間的、部位的にもapoptosisとほぼ同様のパターンで出現し、受傷後10〜12時間(第二のapoptosisのピーク)まではnecrosisとapoptosisがほぼ同程度に認められた。しかし、24時間後にはapoptosisを起こした細胞は貧食により消失し、necrosisのみからなる損傷像となった。 損傷組織におけるapoptosisとnecrosisは、その出現パターンから好中球に由来するTNF-αの作用によるものと考えられ、実際損傷部位の好中球におけるTNF-αの産生が免疫電顕法により確認された。 以上のこどく本研究では、損傷における細胞死にはapoptosisが大きく関与することを細胞生物学的に明かにした。
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