1995 Fiscal Year Annual Research Report
娩出後胎盤の灌流実験による麻酔関連薬剤の胎盤移行と臍帯血流への影響因子の解析
Project/Area Number |
07457363
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
太城 力良 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (20107048)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 匡司 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (10172701)
村川 和重 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (70104263)
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Keywords | 産科麻酔 / 帝王切開 / 胎盤潅流 / 臍帯血流 / 麻酔薬溶解度 |
Research Abstract |
1.娩出後のヒト胎盤を用いる胎盤潅流モデルの作成 大学倫理委員会の承認をとり患者への説明により提供を受けた胎盤は9個に留まっている。大学病院自体の帝王切開件数が少ないこと、緊急帝切では患者の承諾がとれないことが障害になっている。そこで関連施設麻酔科にも依頼し各病院の倫理委員会の承認もとり、ある程度の胎盤が入手できる目途が経ったのが1995年10月である。今までの胎盤潅流では潅流装置に適する胎盤サイズが小さすぎ胎児側潅流液の流量が少なすぎることが判明し、現在、改良中である。胎盤のviabilityについて2時間程度は保持できるようになった。 2.麻酔関連薬の潅流液中の濃度測定 揮発性麻酔薬濃度の測定はサンプル潅流液が0.5ml以下で測定可能となった。これを用い、各種潅流液、臨床で使用する輸液製剤、脂肪乳剤、人工血液、代用血漿に対する揮発性麻酔薬の溶解度を求め、現在、投稿中である。 (研究の評価) 胎盤標本の入手に難渋したため胎盤潅流モデルより得たデータの解析には到っていない。しかし、麻酔薬関連薬剤の潅流液中の濃度測定については測定系は完成した。即ち、潅流液中に溶解している揮発性麻酔薬を60℃の加温により全量気相中に移動させこれをサンプリングするヘッドスペースとガスクロマトグラムを組み合わせることにより揮発性麻酔薬の潅流液中の濃度測定が可能となった。潅流液として用いるKrebs液、人工血液Perfluoro-carbon液、脂肪乳剤輸液などに対する揮発性麻酔薬の分配係数を求めた。これにより晶質液では溶質の種類と無関係に浸透圧と分配係数は逆相関する事が判明した。また、脂肪、perfluorocarbonなどの膠質には麻酔薬は高い分配を示すが澱粉液には少量、デキストラン液には分配がないことがわかった。今後、胎盤標本の入手ルートの拡大により研究は進むことと考える。
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