1997 Fiscal Year Annual Research Report
娩出後胎盤の潅流実験による麻酔関連薬剤の胎盤移行と臍帯血流への影響因子の解析
Project/Area Number |
07457363
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Research Institution | Hyogo College of Medicine |
Principal Investigator |
太城 力良 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (20107048)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥谷 龍 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (90204122)
村川 和重 兵庫医科大学, 医学部, 助教授 (70104263)
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Keywords | 胎盤 / 産科麻酔 / 麻酔薬 / 分配係数 / 胎児酸素化 |
Research Abstract |
娩出胎盤を用いた潅流実験は、最終データを出すに至らなかった。この理由は、(1)入手出来た胎盤数が少なかったこと、(2)娩出後数時間以内に潅流実験を行わねばvaliabilityが保持できなかったことなどがある。今後も娩出胎盤潅流モデルでの実験を継続して初期の目的を達成する。今回の研究期間には以下の研究結果を得た。 「1.各種の胎盤潅流液に対する各種麻酔薬の溶解度」潅流液中に溶解している揮発性麻酔薬を60℃の加温により全量気相中に移動させこれをサンプリングするヘッドスペースとガスクロマトグラムを組み合わせることにより揮発性麻酔薬の潅流液中の濃度測定が可能となった。潅流液として用いるKrebs液、人工血液perfluorocarbon液、脂肪乳剤輸液などに対する揮発性麻酔薬の分配係数を求めた。これにより晶質液では溶質の種類と無関係に浸透圧と分配係数は逆相関する事が判明した。また、脂肪、perfluorocarbonなどの膠質には麻酔薬は高い分配を示すが澱粉液には少量、デキストラン液には分配がないことが分かった。また、静脈麻酔薬プロポフォールの測定法も確立した。 「2.酸素の胎盤移行の促進に関する臨床的研究」胎児の酸素化が低下した胎児仮死時の帝王切開の麻酔法の改良を目的に以下を明らかにした。(1)比較的高濃度のセボフルレン+100%酸素による全身麻酔は、子宮胎盤血流の改善と母体血のPaO_2上昇により臍帯血酸素分圧は上昇するが臍帯血麻酔薬濃度の上昇は少ないこと、(2)脊椎麻酔下の帝切では低血圧が発生しやすくこの予防に糖を含まない液の大量輸液(出生児の高インスリン血症・低血糖を危惧)が普及している。しかし、低血糖は胎児アシドーシスを助長し母体からの酸素移行を低下させる可能性がある。今回、術前にマルトース負荷を行う方が臍帯血酸素分圧や飽和度が向上し、この原因は母体血と胎児血ヘモグロビンのP50較差が増大することに起因することを明らかにした。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Shim JC, Kaminoh Y, et al.: "Solubility of volatile anesthetics in plasma substitutes, albumin, Intravenous fat emulsions, perfluorochemical emulsion, and aqueous solutions." Journal of Anesthesia. 10. 276-281 (1996)
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[Publications] Ochiai N, Tashiro C, et al.: "Sevoflurane anesthesia with 100% oxygen improves oxygen delivery to fetus during cesarean section." International Journal of Obstetric Anaesthesia.(in press).