1995 Fiscal Year Annual Research Report
視神経損傷後の網膜神経節細胞の変性と再生過程に関する研究
Project/Area Number |
07457415
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
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Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
田内 雅規 岡山県立大学, 保健福祉学部, 教授 (00075425)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植木 キク子 東京女子医科大学, 実験動物中央施設, 講師 (90075424)
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Keywords | 網膜 / 神経節細胞 / 共焦点レーザー顕微鏡 / 視神経 / 軸索再生 / 電子顕微鏡 |
Research Abstract |
本年度は、主として視神経を切断した哺乳動物網膜の神経節細胞の樹状突起形態、シナプス結合に関する電子顕微鏡学的検討、栄養因子効果に関する基礎的検討を行った。実験には成熟ラットを用い、視神経を眼球後背部にて全切断を行ったもの、無処置対照群の二群について検討した。視神経切断群は術後3ケ月間放置した後、実験に供した。樹状突起走行の検討には蛍光色素を細胞内注入し、レーザー共焦点顕微鏡により3次元構造の解析を行った。また、シナプスの電子顕微鏡的検討には、神経節細胞を逆行性蛍光標識し、その後摘出網膜を用いて微小電極によるトレーサー(Neurobiotin)の細胞内注入を行った後、薄切した。切断した視神経の再生促進に関わる栄養因子の効果に関しては、視神経切断後、眼球内に各種栄養因子を注入し、細胞生存率、軸索伸張の効果をみた。本研究の結果以下のことが明らかになった。 1)細胞体サイズを基準にした選択注入を行うと高率で一定型の神経節細胞が得られ、直径20μ以上の細胞に注入を行うと、その殆どは形態的特徴からα型神経節細胞であることが明らかになった。2)α型神経節細胞について、レーザー共焦点顕微鏡を用いて解析した結果、高い分解能で神経節細胞の樹状突起形態、走行が3次元的に捉えられることが分かり、視神経切断群は通常細胞とは突起長、走行部位が異なることが明らかになった。3)トレーサー注入を行った細胞では、アマクリン細胞様細胞が内顆粒層に、神経節細胞様細胞が神経節細胞層に認められた。このトレーサカップリングは視神経切断の有無に関わらず観察された。4)トレーサー注入試料の電子顕微鏡観察の結果、神経節細胞膜上にギャップ結合の存在が明らかになった。5)栄養因子(BDNF,NT-4/5)は切断された視神経の再生伸張を促したが、細胞生存数には影響を与えなかった。次年度は上記研究項目を更に詳細に検討する予定である。
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[Publications] 澤井元: "共焦点レーザースキャニング顕微鏡による網膜神経節細胞の三次元形態の解析" 岡山県立大学保健福祉学部紀要. 2. 93-99 (1995)
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[Publications] 澤井元: "成熟哺乳動物の網膜神経節細胞の可塑性" 神経眼科. 12. 272-277 (1995)
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[Publications] H.Sawai: "BDNF and NT-4/5 stimulate growth of axonal branches from regenerating retinal ganglion cells" Cellular/Molecular Neuroscience. (発表予定). (1996)