1996 Fiscal Year Annual Research Report
視神経損傷後の網膜神経節細胞の変性と再生過程に関する研究
Project/Area Number |
07457415
|
Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
田内 雅規 岡山県立大学, 保健福祉学部, 教授 (00075425)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植木 キク子 東京女子医科大学, 実験動物中央施設, 講師 (90075424)
澤井 元 岡山県立大学, 保健福祉学部, 助教授 (20202103)
|
Keywords | 網膜 / 神経節細胞 / 共焦点レーザー顕微鏡 / 視神経 / 軸索再生 / 電子顕微鏡 / 栄養因子 |
Research Abstract |
視神経を切断した哺乳動物(ラット)網膜の神経節細胞の樹状突起形態のレーザー共焦点顕微鏡による三次元的検討、シナプス入出力結合に関する電子顕微鏡学的検討、栄養因子効果に関する検討等を行った。実験には成熟動物を用い、視神経を眼球後背部にて全切断したものと対照群の二群を検討した。視神経切断群は術後3月間置いた後に実験に供した。樹状突起の走行はルシファー色素を可視下で単一細胞に注入し、レーザー共焦点顕微鏡により解析した。シナプスの電子顕微鏡的検討には、逆行性に全神経節細胞を蛍光標識した後、標識細胞にトレーサー(Neurobiotin)の細胞内注入を行い、薄切して標本とした。切断した視神経の再生促進に関わる栄養因子の効果に関しては、視神経切断後、眼球内に各種栄養因子を注入し、細胞生存率、軸索伸張の効果をみた。本研究の結果以下のことが明らかになった。1)細胞体サイズが直径20μ以上の細胞に選択注入を行うと、その多くは樹状突起の形態学的特徴からα型神経節細胞であることが推定された。その中には通常のα型神経節細胞には認めない突起の異常走行を示すものがあった。レーザー共焦点顕微鏡で突起走行を解析した結果、視神経切断群は通常細胞とは突起長、走行部位が異なることが定量的に示された。2)トレーサー注入を行った神経節細胞では、注入細胞周辺の内網状層にアマクリン細胞と思われる小細胞が同時に標識されるのが観察された。なお、この2次標識(トレーサカップリング)は視神経切断の有無に関わらず観察された。トレーサカップリングを認めた標本を電子顕微鏡で観察した結果、神経節細胞膜上にギャップ結合の存在が明らかになり、アマクリン様細胞はこのギャップ結合を介して標識される可能性が窺えた。3)栄養因子(BDNF,NT-4/5)を、視神経を全切断した網膜に与えて視神経の再生伸張を促したが、細胞生存数には影響を与えず、また最盛軸索は視神経乳頭を越えて網膜外に出る例は認められなかった。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] 田内雅規: "視神経再生能の阻害と促進条件" 眼科New Insight. 9. 181-189 (1996)
-
[Publications] H.Sawai: "Functional and morphological restoration of intracranial brachial lesion of the retinocollicular pathway by peripheral nerve autografts in adult hamsters" Exp.Neurol. 137. 94-104 (1996)
-
[Publications] H.Sawai: "Brain-derived neurotrophic factor and neurotrophin-4/5 stimulate growth of axonal branches from regenerating retinal ganglion cells" J.Neurosci. 3887-3894 (1996)