1995 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍血管内皮細胞に対する特異抗体の作製と標的指向制御
Project/Area Number |
07457615
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
真弓 忠範 大阪大学, 薬学部, 教授 (00098485)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堤 康央 大阪大学, 薬学部, 助手 (50263306)
中川 晋作 大阪大学, 薬学部, 講師 (70207728)
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Keywords | 血管内皮細胞 / モノクローナル抗体 / ターゲティング / 物質透過性 / DDS |
Research Abstract |
現在、癌細胞に対するモノクローナル抗体(MA)をターゲティング分子とする研究がなされているが、腫瘍組織への移行性が悪いうえ、腫瘍細胞の多様性の為に有効性が疑問視されている。一方、あらゆる腫瘍組織において、血管内皮細胞層の物質透過機能が一貫して亢進しており、内皮細胞には腫瘍組織共通の特異的機能分子の存在が示唆される。従って、その特異的機能分子に対するMAは、組織移行性を考慮する必要がなく、あらゆる癌種に対する標的指向を可能にするものである。我々は腫瘍血管内皮細胞に対する特異的MAを得るため、本年度はまず抗原としての腫瘍組織由来血管内皮細胞の単離・培養法を確立し、その細胞の諸性質を検討すると共に、本細胞に特異的に反応するMA産生ハイブリドーマの作製を試み、以下の結果を得たので報告する。 1.ラットKMT-17腫瘍より、アンジオテンシン変換酵素、マトリゲル上での管腔形成および第VIII因子関連抗原を血管内皮細胞のマーカーとして、Percoll密度勾配遠心法およびパニング法を組み合わせることにより、腫瘍組織由来血管内皮細胞の単離・培養に成功した。 2.腫瘍組織由来血管内皮細胞は正常組織由来血管内皮細胞に比べ高い物質透過性および低い白血球接着性といったin vivoの腫瘍血管内皮細胞の特性を有していることを確認した。 3.我々は血管内皮細胞層のコラーゲン層が低下することにより物質透過性が上昇することを報告している。そこで、腫瘍組織由来血管内皮細胞のコラーゲン量を測定した結果、正常組織由来血管内皮細胞に比べ、約1/3と低値であった。 4.腫瘍血管内皮細胞に特異的に反応するターゲティング分子としてのモノクローナル抗体を作製すべく、本細胞を抗原として免疫を行い、ハイブリドーマを作製した。 現在、ハイブリドーマのクローニングを行っている。今後、得られたMAの細胞特異性を検討すると共に、制癌剤との複合体を合成し、抗腫瘍活性の検討を行う予定である。
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