1995 Fiscal Year Annual Research Report
シトクロムP450cam反応における酸素活性化機構
Project/Area Number |
07458163
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
石村 巽 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (40025599)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三木 秀穂 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (90229667)
広瀬 忠明 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (60051405)
江川 毅 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (10232935)
島田 秀夫 慶應義塾大学, 医学部, 助教授 (80095611)
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Keywords | シトクロムP450 / P450cam / 酸素活性化 / 酸触媒 / Site-directed mutagenesis / O-O結合開裂反応 / 人工アミノ酸 / スレオニン |
Research Abstract |
一原子酸素添加反応では分子状酸素(O_2)のO-O結合を還元的に開裂させて1原子を水(H_2O)に還元し、同時に他の一原子を基質に挿入する。本研究では、d-camphorを水酸化して5-exohydroxy camphorを生ずる緑膿菌のシトクロムP450(P450cam)を用い、一原子酸素添加酵素反応におけるO-O結合の開裂機構、すなわち酸素の活性化機構を解析した。 先に我々はP450camの活性部位に位置するThr252を水酸基をもたないアミノ酸残基に置換すると、酵素中のヘムに結合したO_2は2電子還元されてもO-O間で開裂することなく、そのまま過酸化水素(H_2O_2)として放出されることを見い出し、252Thr残基の水酸基(OH)がO-O結合開裂の酸触媒として働く可能性を提唱した。本年はこのモデルを検証するため昨年に引き続き部位特異的アミノ酸置換法を用いて、252Thrを側鎖の構造が互いによく似ているが水酸基を持たないO-methyl-Thr、S-methyl-Cys、LeuならびにIleで置換し、得られた変異酵素の触媒反応を解析した。その結果、O-O結合開裂反応が効率よく起こるためには、252位に酸素原子が存在することが必須であるが、水酸基(OH)として存在する必要はないことが判明した。この知見ならびにわれわれがこれまでに251Aspの置換により得た結果に基づき252Thr-H_2O-251Aspからなるプロトン供給系が活性中心に存在し、Thr252の酸素原子は水分子を水素結合で固定する役割をもち、この固定された水分子が酸素のO-O結合開裂反応の酸触媒基となるモデルを提唱するに到った。来年度はこのモデルを検証し、一原子酸素添加反応における酸素活性化機構を最終的に解明したい。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Kimata, Y., Shimada, H., Hirose, T., and Ishimura, Y.: "Role of Thr-252 in cytochrome P450cam: A study with unnatural amino acid mutagenesis" Biochem. Biophys. Res. Commun.208. 96-102 (1995)
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[Publications] 島田秀夫、石村巽: "ヘムタンパク質-構造と機能" 現代化学. 27. 105-115 (1995)
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[Publications] Mitani, F., Ogisima, T., Miyamoto, H. and Ishimura, Y.: "Localization of P450aldo and P45011 beta in normal and regenerating rat adrenal cortex" Endocrine Research. 21. 413-423 (1995)
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[Publications] Ishimura Y. Suematsu M, 他5名: "Carbon monoxide: An endogenous modulator of sinusoidal tone in the perfused rat liver" J. Clin. Invest.96. 2431-2437 (1995)
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[Publications] 牧野龍、島田秀夫: "部位特異的変異体を用いたシトクロムP450反応機構の解析" 生物物理. 35. 1-6 (1995)
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[Publications] Mukai, K., Mitani, F., Shimada, H. and Ishimura, Y.: "Involvement of an AP-1 complex in zone-specific expression of the CYP11B1 gene in the rat adrenal cortex" Mol. Cell. Biol.15. 6003-6012 (1995)