ヒト由来肝細胞を用いた人工補助システムの開発〜ラジアルフロー型バイオリアクターを用いて〜

1995 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 07458238
• Research Category: Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
• Research Institution: Jikei University School of Medicine
• Principal Investigator: 永森 静志 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教授 (60119831)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 水谷 悟 キリンビール(株), 基盤技術研究所, 研究員 ; 新谷 稔 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (20198419)
• Keywords: 人工肝臓 / ヒト肝細胞 / ラジアルフロー型バイオリアクター / 三次元培養 / アルブミン / アルファ・フェト・プロテイン / アンモニア / 体外循環

Research Abstract

平成7年度に行った研究内容は
1:ラジアルフロー型バイオリアクターの性能評価:ラジアルフロー型バイオリアクターによる肝由来細胞培養は極めて高密度培養が可能で、電子顕微鏡での観察では細胞の3次元配列と、細胞内小器官の極性をもった分布が観察された。これにともないアルブミンを始めとする肝特異蛋白の産生量も従来の単層培養法に比べ10倍から100倍の産生量を示した。またその他の肝特異機能である、アンモニア代謝や薬剤代謝活性も有している事を確認した。
2:ヒト血漿の潅流実験:血漿潅流による培養細胞障害の程度や、血漿潅流による回路内へのフィブリン析出に対する抑制法を検討した。
3:動物実験:ブタを用いた動物実験では、頚動脈カニュレーションによる血流量の確保、血漿分離装置の作動状況、リアクター内への血漿潅流による細胞障害の程度を検討し、システムとして機能する事を確認した。
4:ラジアルフロー型バイオリアクターの改良:リアクターの小型化については50mlタイプのリアクターを試作し、従来型のリアクターにと同に効率で機能する事を観察した。また体外循環で使用する際の温度確保についても加温モジュールを試作し作動している。
以上のように7年度に予定の研究計画については全般にわたり進行中ですでに成果が得られている。一方平成8年度施行予定であった動物実験も開始している。すでに正常ブタでのラジアルフロー型バイオリアクターシステムの作動状況の確認まで終了し、今後は不全肝ブタでの研究に移る予定である。

Research Products

• [Publications] 川田雅昭: "ラジアルフロー型バイオリアクターと株化ヒト肝癌細胞を用いた人工肝臓の開発" 肝臓. 35Suppl(1). 155 (1994)
• [Publications] Seishi Nagamori: "A New Liver System Composed of Human Cells a Radial Flow Bioreactor for Clinical Use" Hepatology. 20(4). 199A (1994)
• [Publications] 川田雅昭: "ラジアルフロー型バイオリアクターを用いた人工肝システムでのヒト由来肝細胞の高機能発現と形態の培養環境評価-単層培養との比較による-" 肝臓. 36Suppl(1). 331 (1995)
• [Publications] 川田雅昭: "ヒト肝由来細胞を利用したバイオ人工肝補助装置の開発-ラジアルフロー型バイオリアクターを用いて-" HUMAN CELL. 7(2). 95-100 (1994)
• [Publications] 川田雅昭: "高機能発現を呈する三次元培養におけるヒト肝細胞の形態学的検討-ラジアルフロー型人工肝補助装置を用いて-" 日本臨床電子顕微鏡学会誌. 28Suppl. S103 (1995)
• [Publications] 永森静志: "バイオ人工肝補助装置の開発と問題点" 人工臓器. 24(5). (1995)