1996 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト由来肝細胞を用いた人工肝補助システムの開発〜ラジアルフロー型バイオリアクターを用いて〜
Project/Area Number |
07458238
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Research Institution | The Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
永森 静志 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教授 (60119831)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水谷 悟 キリンビール(株), 基盤技術研究所, 主任研究員
新谷 稔 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (20198419)
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Keywords | 人工肝補助システム / ラジアルフロー / バイオリアクター / 肝不全 / JHH / ナファモスタットメシレート / 三次元培養 / 電子顕微鏡 |
Research Abstract |
肝硬変や劇症肝炎などの肝不全に対する治療は、血漿交換療法が主体で救命率は20%に満たず、本邦でも欧米の如く肝移植を進める必要がある。しかしドナーに比し、患者数はあまりにも多い。ドナーが見つかるまでの生命維持や劇症肝炎時の肝細胞再生補助として、人工肝臓補助装置の開発が急務である。 申請者らが樹立したヒト由来肝細胞を、ガラス坦体(シラン)を用いたラジアルフロー型バイオリアクター(RAD)で培養すると、坦体の内部や表面に細胞が3次元的増殖が電子顕微鏡で観察された。酸素消費量やグルコース消費量から算定し10^8 cells/ml-matrix以上の高密度培養が可能で、200ml容量のRADで総細胞数は2.88x10^<10>個となった。このRAD(ヒト肝の1/6容)でアルブミン産生量15g/dayと正常ヒト肝臓と同等の値を示した。他の重要な肝機能としてのアンモニア代謝や、薬物代謝としてナファモスタットやアンチピリンについて検討し機能していることを確認した。 RAD本体の改良は、坦体の粒子や孔の大きさ、表面のコーティングなど検討したが現在の坦体に勝るものは見つかっていない。体外循環量の減量には、50ml容積のリアクターの作成と回路チューブの狭小短縮により達成している。体外循環回路の改良は血漿への酸素の供給やRADの血漿流速のコントロールが必要である。協同開発者の旭メディカルとエイブルにより薄膜による酸素供給装置とRADへのリサイクル回路の追加、その制御システムの基本的設計を終わった。さらに実用化への開発を行っている。 RADを生体に装着した際の安全性確認のために、ブタを用いて検討を加えた。RADを装着し5時間の検討を行ったが、ブタのvital signは安定しており、bradykininの血中増加も認めず、このシステムの生体への安全性が明らかとなった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 永森静志: "バイオ人工肝補助装置のマイクロ化の開発" 医用マイクロマシン技術開発研究(科研費補助金,医用マイクロマシン技術開発研究事業報告書). 183-196 (1996)
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[Publications] 柴本由香: "培養ヒト肝細胞に対するタキソテ-ル(Taxotere)の効果" 日本癌学会総会記事(55回). 602 (1996)
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[Publications] Aizaki,H.: "Mobher-to-child transmission of a hepatitis C virus variant with an inserbional mutation in its hypervariable region" J.Hepatology. 25. 608-613 (1996)
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[Publications] Kuga,K.: "Intraocular Hemorhage Developing during Interferon Therapy." Internal Medicine. 35 (1). 15-18 (1996)
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[Publications] Murakami,K.: "Establishment of a New Human Cell Line,L190,Exhibiting Characteristics of Hepatic,Ito (Fat-Storing) Cells." Laboratory Investigation. 72 (6). 731-739 (1995)
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[Publications] Sujino,H.: "The ultrastructures of cultured hepatic endothelial cells revealed by the plasma polymerization replica method." Cells of the Hepatic Sinusoid. 5. 278-280 (1995)