1997 Fiscal Year Annual Research Report
酵素触媒による不斉脱炭酸反応に関する有機化学的及び生物化学的研究
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07459023
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
太田 博道 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (30152151)
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Keywords | ランダム変異 / プラスミド / 基質特異性 / 不斉脱炭酸反応 / 酵素反応 |
Research Abstract |
我々が発見した二置換マロン酸を不斉脱炭酸する酵素は補因子を全く必要としない非常にユニークな酵素であり、240個のアミノ酸からなる。4個含まれるシステインの内1個が活性部位にあって、反応に重要な役割を担っていることが明らかになっている。これまでの研究の結果、N端から188番目のものが酵素活性に直接関与していること、酵素内で基質の立体配座等があきらかとなってきた。 今年度は酵素をコードする遺伝子のランダム変異によって基質特異性を変化させる試みを行った。基質である二置換マロン酸の2個の置換基のうち、芳香環に関してはベンゼン環からナフタレン環までかなりのバリエーションが可能である。しかし、もう一方の置換基については水素、フッ素、メチル基以外のものが結合した化合物は基質となり得ない。おそらく立体的要因で大きな置換基を有する化合物の結合を妨げているアミノ酸慚愧があると推定される。もし、ランダム変異によって多少大きな置換基を有する化合物に対してでも活性を有する酵素を得ることができれば合成化学的に大変有意義であるばかりでなく、活性部位の構造にも有力な知見を与えることになる。 具体的にはプラスミドから切り出した2重鎖DNAに亜硝酸を作用させた。その遺伝子断片を再びプラスミドのつないで大腸菌を形質転換し、エチル置換基を有する化合物に対して活性を有する株を検索したが、7000株の中から目的のものを見つけることはできなかった。基質特異性は変わらないものの、野生株より活性の高い酵素が見出されているので、それについて尚検討中である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 太田博道: "水の中のマジシャン、生体触媒" 化学と工業. 50(7). 977-979 (1997)
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[Publications] 太田博道: "水の中でのカルバニオンの化学" 化学と生物. 35(11). 799-807 (1997)
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[Publications] 太田博道: "Cysteine 188 Revealed Being Critical for the Enzyme Activity of Arylmalonate Decarboxlase by Site-Directed Mutagenesis" Bull.Chem.Soc.Jpn.70(11). 2765-2769 (1997)
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[Publications] 太田博道: "Enzyme-Mediated Enantioselective Protonation to Enolates in an Aqueous Medium" Bull.Chem.Soc.Jpn.70(12). 2895-2911 (1997)