1995 Fiscal Year Annual Research Report
フェノールの直接ビニル化プロセスと新規ポリ(o-ビニルフェノール)の応用研究
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07554065
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Research Category |
Grant-in-Aid for Developmental Scientific Research (B)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山口 雅彦 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (30158117)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木田 泰次 (株)トクヤマ, つくば研究所, 所長
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Keywords | o-ビニルフェノール / 直接ビニル化 / エチン / SnCl_4 / Bu_3N / GaCl_3 / フェノール / β-シリルビニル化 |
Research Abstract |
ビニル芳香族化合物は,ポリマー等の原料として重要な合成中間体である.しかし,芳香族化合物を直接ビニル化する効率的な方法が知られておらず,一般には数工程の合成が行なわれている.例えば,スチレンの工業的合成は,ベンゼンからエチルベンゼンを経由し,脱水素化している.これがベンゼンから直接合成できれば,反応効率の点からはもちろん,省資源的にも意義は極めて高い,本研究の最終的な目的は,これまで困難とされてきた“芳香族化合物の触媒的直接ビニル化反応"を実用化プロセスとして実現するものである.本申請ではその一段階として,フェノールの直接ビニル化の実用化と新しいポリ(ビニルフェノール)類の用途開発の研究を行っている.本年度は以下の成果が得られた. 1)フェノールのアチレンガスによるビニル化反応について,基質の構造と反応性について調べた.フェノールは電子供与性基を有するものの反応性が高いが,ハロゲンやアルコキシカルボニル,ニトロなどの電子吸引性基でもビニル化でき,極めて適用範囲が広いことが分かった.ビニルフェノールは比較的不安定なので単離操作に工夫が必要であるが,解決のめどがほぼたった. 2)反応のスケールアップを検討した結果.10g程度の合成が十分に行えるようになった. 3)適切な反応条件を設定すると,フェノールの2,6-ジビニル化を行えることが分かった.単純な構造の化合物であるが,Chem. Abstr.に記載のない新規化合物群である.この反応性の高い化合物の特性に興味が持たれる. 4)GaCl_3を用いると芳香族炭化水素のβ-シリルビニル化が行えることが分かった.脱シリル化によって,ビニル芳香族化合物が得られる.反応機構的には新しい有機ガリウム中間体が生成していることを明らかにした.有機アルミニウム化合物の化学に比べて,有機ガリウム化合物の特性はほとんど明らかでなかったので,有機化学の新しい分野を開拓しつつあるといえる. 本補助金で有機化合物の大量分離精製のための高速液体クロマトグラフィーと分析用のガスクロマトグラフィーを購入した.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] M. YAMAGUCHI, Y. KIDO K. OMATA, M. HIRAMA: "Synthesis of Exo-enynes by Ruthenium-Catalyzed Cross Coupling Reaction of Hyaroxy Allenes and 1-Alkynes" Syn. Lett.1995. 1181-1182 (1995)
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[Publications] M. YAMAGUCHI, A. HAYASHI, M. HIRAMA: "Alkynyldichlorogalliums are Unstable in Hydrocarbon Solvents, Dimerization of Alkynyldichlorogalliums via Carbogallabior" Chem. Lett. 1995. 1093-1094 (1995)
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[Publications] 山口雅彦 林明希男 平間正博: "フェノールの直接オルトビニル化反応" 有機合成化学協会誌. (発表予定). (1995)