1995 Fiscal Year Annual Research Report
メロンの生理障害「うるみ果」発生メカニズムの解明とその防止技術の確立に関する研究
Project/Area Number |
07556075
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Research Category |
Grant-in-Aid for Developmental Scientific Research (B)
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
西澤 隆 山形大学, 農学部, 助教授 (10208176)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
元村 佳恵 弘前大学, 農学部, 教授 (50005609)
村山 秀樹 山形大学, 農学部, 助教授 (40230015)
平 智 山形大学, 農学部, 助教授 (20167480)
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Keywords | うるみ果 / エタノール / 炭水化物 / メロン |
Research Abstract |
材料および方法 メロン‘アンデス'を供試し,開花後35〜40日(成熟期15〜10日前)の5日間50%遮光処理した. 結果および考察 果実が成熟するにつれて,対照区,処理区とも還元糖が減少し,スクロースが増加した.両者の糖含量の差はスクロースのみで認められ,処理区では対照区に比べ有意に減少した.逆にエタノールおよびアセトアルデヒド含量は処理区の方が対照区より有意に高く,その傾向は果肉よりも胎座部でより顕著であった.また,処理区では果肉が水侵状になるいわゆる「うるみ果」の傾向が顕著であり,対照区に比べ果肉硬度も低下する傾向が認められた. メロンは果実肥大期から成熟期にかけて光合成産物要求量が非常に強い.通常スクロースは転流糖から合成されるが,遮光によって一時的に光合成産物の供給量が阻害されると,果実内のヘキソースからスクロースが合成される.そのため果実内の浸透ポテンシャルが高まり,膨圧が低下するため、細胞壁由来の不溶性糖を可溶化して果実内の浸透ポテンシャルを低下させ,膨圧を維持する必要がある.こうした一連の糖代謝に必要なエネルギーは呼吸によって得られるが,果実内は極端な嫌気状態となっているため,解糖系で作られたピルビン酸の多くはTCA回路に入らず,アルコール発酵へと向かうのではないかと推定される. このような一連の糖代謝にはエチレンの関与が示唆された.したがって,エチレンが「うるみ果」発生におよぼす影響を明らかにすると共に,果実肥大期における光合成産物の供給量を確保することが「うるみ果」防止に最も役立つものと考えられる.
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