1995 Fiscal Year Annual Research Report
網脈絡膜による眼軸長制御機構の解明とこれによる弱視治療・視機能予後評価の検討
Project/Area Number |
07557110
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Research Category |
Grant-in-Aid for Developmental Scientific Research (B)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
山本 節 神戸大学, 医学部, 教授 (40182654)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関谷 善文 神戸大学, 医学部・附属病院, 講師 (20226666)
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Keywords | 実験近視 / 網脈絡膜萎縮 / 強度近視 / 眼軸長 / 成長因子 / オートラジオグラフィー / TGF-β |
Research Abstract |
まず臨床的に網脈絡膜による眼軸長制御機構の解析を行なうため、視機能成長期である小児の強度近視眼症例25例を対象に、屈折度、矯正視力を測定し、本研究で導入した超音波診断装置を使用して眼軸長を測定したところ、矯正視力は、網脈絡膜萎縮を伴う場合よくない傾向で、両眼性強度近視症例よりも片眼性強度近視症例では、網脈絡膜萎縮を認めない場合でも矯正視力はより出にくい傾向を示した。この片眼性強度近視症例での患眼の視力不良な理由として、眼軸長の左右差が大きく、これによる不同視差が大きいため弱視の要因が入ること、健眼視力良好なため発見と治療開始が遅れること、斜視を合併していることがあることなどが考えられた。今後は個々の症例での経時変化を加え、かつ症例数も増やしての再検討を行なう予定である。 一方で、ヒヨコ実験近視モデルを用いた基礎実験では、ヒヨコ強膜に対する成長因子TGF-βの作用を主にオートラジオグラフィーを用いて検討し、強膜軟骨細胞の増殖能は生後21日目に最盛で、かつTGF-β投与で細胞の増殖能はわれわれの実験系ではむしろ抑制されることがわかった。通常は、成長因子は細胞の増殖能を促進するように働くものと考えられるので、この結果は従来の報告に矛盾するものといえる。しかし、多くの成長因子のうち、一つにしぼって解析したことや、今回は一定の濃度下でのみの検討であるので、次年度の検討では濃度勾配による変化や、他の成長因子の介在下での再検討の必要性が認識された。さらには、臨床応用の可能性を模索するため、成長因子阻害因子による眼軸長延長抑制のメカニズムの検討も必要と考えられた。
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