1995 Fiscal Year Annual Research Report
がん細胞特有のエネルギー代謝系の阻害を作用機作とする抗がん剤の開発
Project/Area Number |
07557164
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Research Category |
Grant-in-Aid for Developmental Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
寺田 弘 徳島大学, 薬学部, 教授 (00035544)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀 均 徳島大学, 工学部, 助教授 (90119008)
篠原 康雄 徳島大学, 薬学部, 助教授 (60226157)
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Keywords | がん細胞 / エネルギー代謝 / 解糖系 / 抗がん剤 / ミトコンドリア / ヘキソキナーゼ / 阻害剤 |
Research Abstract |
我々は、(1)がん細胞では正常組織ではほとんど発現していないII型ヘキソキナーゼが著しく発現し、解糖活性の亢進に寄与していること、ならびに(2)II型ヘキソキナーゼの転写レベルが亢進しているようながん細胞では、必ず1型糖輸送担体の転写レベルも協調的に亢進しており、がん細胞特有のエネルギー代謝系が構築されていることを見い出してきた.本研究では、がん細胞特有のエネルギー代謝系を遮断することを作用機作とした抗がん剤の開発を行うことを目的とした研究を行い、以下の知見を得た. 1.がん細胞でのII型ヘキソキナーゼ遺伝子の転写調節 細胞のがん化に伴って、そのような分子機構でII型ヘキソキナーゼの転写レベルが亢進するのかを明らかにすることによって、転写阻害を作用機作とした抗がん剤のドラッブデザインが可能になるものと期待される.そこで、本遺伝子の転写調節を担うプロモーター領域を単離し、その構造と機能の解析を行った. 2.II型ヘキソキナーゼのミトコンドリアへの結合の生理的意味 がん細胞では、多量に発現したII型ヘキソキナーゼはミトコンドリアに結合していることが知られていたが、その生理的意味は未だ明確でなかった.がん細胞からミトコンドリアを単離し、ミトコンドリア結合型ヘキソキナーゼの機能解析を行い、ヘキソキナーゼはミトコンドリアに結合することによって、酸化的リン酸化反応で合成されたATPを効率よく利用するようになることを見い出し、ミトコンドリアへのヘキソキナーゼの結合の阻害によっても、がん細胞特有のエネルギー代謝系を遮断することが可能であることを見い出した. 3.II型ヘキソキナーゼの特異的阻害剤 4種のヘキソキナーゼアイソザイムのうち、II型アイソザイムだけを特異的に阻害する化合物をデザインするために、本アイソザイムの機能的特異性の解析を行い、このような機能的相違を与える一次構造の同定を行った.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] J.Ichihara et al.: "Nucleotide sequence of the 5′-flanking region of the type 11 hexoinase gene" Biochim.Biophys.Acta. 1260巻. 365-368 (1995)
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[Publications] E.Majima et al.: "Stabilities of the fluorescent SH-reagent eosin-5-maleimide and its adducts with sulfhydryl compounds" Biochim.Biophys.Acta. 1243巻. 336-342 (1995)
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[Publications] E.Majima et al.: "Translocation of loops regulates transport activity of mitochondrial ADP/ATP carrier deduced from formation of a specific intermolecular disulfide bridge catalyzed by copper-o-phenanthroline" J.Biol.Chem.270巻. 29548-29554 (1995)
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[Publications] 篠原康雄、寺田 弘: "グルコキナーゼ遺伝子の重複融合による高等動物のヘキソキナーゼ遺伝子の形成" 生化学. 67巻. 137-141 (1995)