1996 Fiscal Year Annual Research Report
法医剖検脳における精神分裂病の生化学的診断とその法医鑑定への応用
Project/Area Number |
07557220
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Research Institution | Kobe University School of Medicine |
Principal Investigator |
龍野 嘉紹 神戸大学, 医学部, 教授 (80030831)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白川 治 神戸大学, 医学部・附属病院, 講師 (40243307)
西野 直樹 神戸大学, 医学部, 講師 (30218177)
中井 久夫 神戸大学, 医学部, 教授 (50094389)
上野 易弘 神戸大学, 医学部, 助教授 (30184956)
足立 順子 神戸大学, 医学部, 助手 (40030887)
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Keywords | 分裂病 / うつ病 / 法医解剖 / 神経生化学 / 遺伝子多型 / セロニントランスポーター |
Research Abstract |
当教室および兵庫県監察医務室において、死後12時間以内に行なった法医解剖例のうちで、a)明らかに精神分裂病と臨床的に診断されていた症例、b)うつ病と診断されていた例、c)自殺例、d)20歳以上の非精神疾患例の4群について、解剖時に摘出した脳の左半球を直ちに当教室既存のディープフリーザ-で-85℃に冷結保存し、右半球には0.5〜1.0cmの厚さで前頭断を施し、4%パラホルムアルデヒド-0.01Mリン酸緩衝溶液(pH7.4)で2、3日固定後、15%しょ糖-0.01Mリン酸緩衝溶液(pH7.4)に浸漬し保存した。a)からd)の4群ともに組織学的な検索を行ない、器質的な中枢神経経の疾患の有無を検索し、脳腫瘍、脳炎、脳血管障害、頭部外傷、Alzheimer病等の異常所見のあるものは除外した。また、受容体分析を行なうための前段階としてドーパミン作動神経経に対すドーパミンD2受容体抗体、グルタミン酸作動神経系に対する抗NMDA受容体抗体を作成したが、充分な特異性が得られなかったため受容体分析は断念し、脳と同時に採取し、-80℃で保存したヘパリン加血液を用いて、特に自殺と関係が深いと言われているセロトニントランスポーター遺伝子多型について調査を行なった。さらに、神経科受診歴はないが、遺書に意味不明の記述を残して自殺したものや自殺方法として通常では見られない異常な方法を用いて自殺した例の脳および血液についても同様の方法で保存し、a)からd)の各群の対比を試みたが、有意な差は認められなかった。今後、法医鑑定へ応用するためには、本研究において保存した脳ならびに血液を対象として生化学的ならびに組織化学的研究を進める必要があると思われる。
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