1995 Fiscal Year Annual Research Report
先天代謝異常症の多項目高制度マススクリーニングシステムの開発
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07557234
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
衣笠 昭彦 京都府立医科大学, 医学部, 助教授 (90128702)
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Keywords | 先天代謝異常症 / マススクリーニング / タンデムマススペクトロメトリー |
Research Abstract |
アミノ酸、アシルカルニチンの同時分析を多くの検体で行うために液体クロマトグラフ(LC)のポンプによる質量分析計への導入について検討を行った。エレクトロスプレーイオン化によるタンデムマススペクトロメトリー(ESI-MS/MS)での条件を検討した結果、サンプルの誘導体化はブチル化が優れていると結論された。血液濾紙からのサンプル処理方法としては内部標準を含んだメタノールにより抽出し、ブチル化後に50%アセトニトリルに溶解しその一部をLCのルートに注入する方法をとった。MS/MSの分析条件としてはアミノ酸はm/z102のニュートラルロススキャン、アシルカルニチンはm/z85のペアレントスキャンにより良好なスペクトルが得られた。定量化については、アミノ酸はグリシン、アラニン、ロイシン、フェニルアラニン、チロシンの安定同位体希釈法による定量を行い、良好な検量線の直線性と回収率が得られたが、変動率はやや大きかった。アシルカルニチンについてもアセチルカルニチンとイソバレリルカルニチンについて定量を行い良好な検量線の直線性と回収率が得られたが、やはり変動率はやや大きかった。上記の測定方法を用いて正常新生児および診断の確定した先天代謝異常症の血液濾紙の分析を行った。アミノ酸代謝異常症としてはフェニルケトン尿症、メープルシロップ尿症、ヒスチジン血症、有機酸代謝異常症としてはメチルマロン酸尿症、グルタル酸尿症2型の濾紙を用いたが、いずれの症例についても診断が可能であった。以上の成果を平成7年度の日本小児科学会、日本先天代謝異常学会、国際新生児マススクリーニング学会アジア太平洋地域会議にて発表し、日本医用マススペクトル学会ではシンポジウムで発表した。論文としては現在は日本医用マススペクトル学会講演集と医学のあゆみ(平成8年5月掲載予定)が主なものであるが、他に外国誌に投稿を予定している。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 寺田直人 他: "ESIMS/MSにおけるアシルカルニチンとアミノ酸の一斉分析" 日本医用マススペクトル学会講演集. 20. 39-44 (1995)
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[Publications] 大河内正和 他: "重症心身障害児における尿中代謝産物の測定" 日本医用マススペクトル学会講演集. 20. 85-86 (1995)
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[Publications] S.Matsuo 他: "Efficasy of tryprophan for the treatment of non-Ketotic hyperglycinemia:a new therapeutic approach for modulating N-methyl-D-aspartate receptor" Pediatrics. 95. 142-146 (1995)
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[Publications] 寺田直人 他: "p-toluenesulfonate添加マトリックスを用いたSIMS/MSによるアシルカルニチンとアミノ酸の一斉分析" 医学のあゆみ. 177(掲載予定). (1996)
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[Publications] H.Nakajima 他: "Pivalate affects carnitine status but causes no severe metabolic change in rat liver" J Nutr. (掲載予定).